Fランク冒険者の日常

第36話 Fランク冒険者の日常㊱

「はい、これ」

　ネピアが温かい飲み物を渡してくれた。この時期は依頼を受ける冒険者が少ないので、冒険者ギルドで温かい飲み物をサービスしてくれる。

「ありがとうございます」

「どういたしまして。でも、本当に変わっているわね。この時期はみんな宿や酒場に籠って過ごしているのに」

「どうなんでしょうね。私の場合は、部屋とかで過ごすより寒いから体を動かしたいって思いますね」

「まあ、依頼をこなしてきた後なんだから、ゆっくり体を温めてから帰りなさいよ」

「ありがとうございます」

　暖炉で燃える薪を見ながら、温かい飲み物を頂く。少しいつもより静かでゆっくりと動くこの時間が好きで来ている気がする。心地よい暖かさが少し眠気を誘う。

　本当に良い時間だ。