第32話 Fランク冒険者の日常㉜
冬が近づくにつれて狩猟依頼が多くなってきている。宿暮らしの為、何かない限りは食料事情に困ることはないと思うし、なし崩し的に依頼をすることになった野鹿も含め、冬を越せる分の貯えは十分できている。今日は狩猟依頼じゃない依頼をしよう。
「冬を越す為の準備」
明らかに怪しい依頼だが、長期間放置されている依頼みたいだ。最初の頃より依頼料も少し上がっている。こういう依頼を見つけてしまうと、見て見ぬふりができない。私のエゴなのはわかっているが、依頼書を取り冒険者ギルドの受付へ向かった。
「もう、誰も受けてくれないんじゃないかと思っていました」
若い女性だった。
「それで、冬を越す為の準備というのは、一体何をするんですか?」
「はい、そうですよね。依頼内容は私たちが狩猟をする為のお手伝いをしてほしいんです」
また狩猟依頼ですか。確かにこの時期は狩猟依頼が多くなる。町の付近は討伐するモンスターが少ない為、必然的に肉の供給量が少なく、冬が来ることもあり更に肉の価値が上がり高価になる。普段であればそこまで気にする値段ではないが、この時期だけは一般家庭には大きな痛手になる。
冒険者へ狩猟依頼を出すのも上手く冒険者を使い狩猟できた場合はお店で買うより安く肉を手にすることができるからだ。ただ、安く肉を手にすることができるかどうかは冒険者次第になるので、必ずしも依頼者の希望に叶うわけではない。
ただ、やるからには全力で頑張るかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます