第31話 Fランク冒険者の日常㉛

 野兎の狩猟が上手くいったのが良くなかった。上手く行き過ぎたのだ。毎回あれだけの狩猟ができるなら冒険者ではなく、狩人になっていたと思う。


 一度の狩猟捕獲数五十八匹、私の中で過去最高の狩猟捕獲数だった。野兎が罠に掛かり過ぎて困ったのは初めてだった。


 野兎は肉が柔らかい為、少し高級な肉として取引される。依頼は五匹だけだったが、追加依頼があり合計十五匹を納品した。残りは商業ギルドに買取で十匹、エリエールさんとネピアに二匹ずつ、教授に五匹、宿屋の主人と教会に十匹ずつ、余りは保存用に加工して、アイテム袋に仕舞っておく。


 そして今の私は道具屋で野鹿を狩猟する為用の罠を森の中に百個仕掛けている最中である。


「エリエール、野兎も美味しいけど野鹿もたまには食べてみたいよね。どっかの誰かが野兎を五十七匹も狩猟捕獲して来たんだから、野鹿なんて余裕よね」

「確かにそうですね」

「え?」


 次の日、野鹿十七匹を狩猟捕獲したが、その数が多いのか少ないのかはわからない。ただ、二人の希望に叶う結果となって良かった。

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