第11章 宿暮らしと固定の依頼者

第29話 Fランク冒険者の日常㉙

「来月分の支払いです」

「あのぉ、私がいうのも変ですが、小さい家でも借りて住んだほうが安く済むと思いますよ」

「そうなんですけど、毎日綺麗なベッド寝れて3食ご飯も付いている宿ってここくらいですし、お願いすれば洗濯もしてくれるじゃないですか。しかも、結構お手頃な値段なので1か月にかかるお金を考えると、宿暮らしもそんなに変わらないかなって」

「そうですか?」

「ここだけの話なんですけど、実は結構稼いでいるんです。多少の出費なら大丈夫なんです。稼げなくなりそうになったら、考えますよ」

「はぁ」


「まぁ、いいじゃねえかお前、うちは固定の客がいて助かっているんだからな」

 奥から宿の主人兼コックのおじさんが会話に入る。


「でも、Fランク冒険者ってそんなに稼げるんですか?」

「どうなんでしょう。最初は結構大変でしたけど、私もなんだかんだ言ってFランク冒険者の経歴が長いですし、この町にも長く居ますから固定の依頼者とかもあって、新人のFランク冒険者よりは稼げていると思いますよ」

「そう言われると、結構お話し聞きますね。みなさんとても感謝しているって良くお話していました」

「それはなによりです」


「で、お前は朝飯を食ってからまた行くのか?」

「もちろん」

「じゃあ、そこで座って待ってろ。今用意するから」


 いつも座る場所で、朝食が出来上がるのを待った。今日も良い一日になりそうだ。

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