第19話 Fランク冒険者の日常⑲

「その話、聞かせてもらったのである」

 少し汚れた白衣を己の力でバサッと揺らし、一人の男がそこに立っていた。

「出た、プロフェッサー」

 ネピアは関わりたくないオーラ全開である


「その話、聞かせてもらったのである」

「そのセリフ、2回目だからね」

「そして、これが私の求めていた究極の薬草液。そこのFランクくん、その薬草液を1本私に譲ってはくれないかね」

「はい、駄目です」

「そうかそうか、譲ってくれるか。君は私のアイテム開発に小さな貢献をした」

「駄目です」

「いやいや、譲ってくれるか。君は私のアイテム開発に大きな貢献をした」

「ネピア、また来るわ」

「ちょっと待つのだFランクくん、君はあれかい?町の皆を救いたくないのかね?英雄とか慣れちゃうよ?モテモテに慣れちゃうよ?」

 プロフェッサーは薬草液を1本ゲットするために己の知識の全てを使い巧みな話術を使い交渉している。

「たぶんですけど、この薬草液だと効果が少ないので、もう少し強めの薬草液を持ってきます。ただし、約束して下さい。これを私が作ったことは秘密にして下さい。後、できるなら調合方法は広めないでほしいです」

「なんと、この薬草液より効果が高いものがあるのか。素晴らしい。あいわかった。可能な範囲で善処しよう」

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