第18話 呆気なく

タイトルは、告白してすぐ終わった、という事ではない。

あくまで「告白が呆気なく成功した」という事である。


さて、かくして僕らは「彼氏・彼女の関係」つまり「恋人」になった。

僕は今まで何度か交際経験はあったが、正直学生時であったり、会う機会がほとんどないまま終わっていた(これについては別述、しようか迷っている)ので、

「きちんと付き合う」のはほぼ初めてに等しい。

そもそも「きちんと付き合う」ということ自体よく分かっていなかった。

それは今でも変わらない。いい大人なはずなのに。


とは言え、最初の1か月くらいは、お互い妙に意識し始めてしまったため、

普通に話して、一緒にご飯を食べて、少しお酒飲んで(店長カップル交え)くらいのものであった。初めて手を繋いだのだって店長に揶揄われてようやく、くらい。

彼女の過去の恋愛もよく知らない(というか教えてくれない)し、

「あれ?これ付き合ってるの?」と聞かれたら恐らく上手い回答ができなかった。


しかしながら僕は今までにない幸せを噛みしめていた。考えてもみてくれ。

「自分が好きな相手が自分を好いてくれている世界線」だ。

これは奇跡なのだ。もしかしたら夢かもしれない。そう考えたこともあった。

でも現実なんだ。そう考えると急に怖くなる。失うことが、いなくなることが。


君はあの時からそう考えていたのかな。いつか終わりがくるって、分かっていたのかな。それならそうと言ってくれればよかったのに。そうしたら僕らはあんなに苦しまずに済んだんじゃないかな。

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