第17話 告白後

僕:「君の事が好き」言ってしまった。

決めていたことなのに、いざ本人を前にすると、

こんなにも時間がかかるものなのか。


反応が怖かった。店長のいう事は時々、いや半分くらいは冗談だ。

でも次の瞬間、時が止まったように思えた。


彼:「私も好き」


いよいよ幻聴が。。。ん?どうやら違うようだ。


僕:「ま、マジ?嘘じゃなくて?」

彼:「嘘じゃない。こんな嘘つかない」


いつになく真剣な表情で訴えかける彼女。


僕:「う、うん。あ、ありがとう」

彼:「い、いえ、こちらこそ」


おいダメだろ。リードしなきゃ。


僕:「えっと、じゃあ改めて。こんな僕だけど、付き合ってください」

彼:「喜んで。こんな私だけど、よろしくお願いします」


好きな人が自分を好きでいてくれた。

そんな世界線、久しく忘れていた。

いや、これは今までとは明らかに違う。


それまでの雰囲気とは一変した世界で、お互い黙り込んでいると

店:「おい!まだか!長いわ!!外寒い!!」


店長からの電話で現実に戻る。

僕:「ああ、ごめん。待たせてしまって」

店:「上手くいったようね」

僕:「え?なんで?」

店:「わかるわよ、それくらい」


何もかもお見通しってか。

僕:「うん、ありがとう。色々と」

店:「いえいえ。あ、今から戻るけど彼女に代わって」


彼:「あ、どうも。。。」

店:「よかったね」

そこまでは聞き取れたが、その後は全く内容もつかめないまま、

しばらく話し込んでいた。


店:「まったく!時間かけやがって!」

僕:「返す言葉もございません」


店長が帰ってきたから、この日の流れをばらされた僕は、

彼女を前にして説教を受けた。


店:「罰として、今度4人で飲みに行くときおごりな!」

僕:「へい。。。」

彼:「あのー」

店:「ん?」

彼:「もうその辺にしませんか?」

彼:「あの、ズルいです。ヤキモチやいちゃいます」


僕・店「(おいなんだこの可愛い台詞ズルいのはそっちだろ)」


店:「急に積極的に」

彼:「なんか説明しづらいんですけど、ちょっと寂しいです」

僕:「やめて、僕のHPはとっくにゼロだよ。それ以上は悶え死ぬ」

彼:「ごめんね。でも急だったから私もずっとドキドキしてて」


ああ、神様。今すぐ時を止めてこのまま殺してください。

幸せに包まれたまま死ねるなら本望。


いや、違う。生きる意味が目の前にあるじゃないか。

僕を生かしてくれる存在が、いるじゃないか。


それまで何も見えなかった僕の未来に、君という光がその先を示してくれた。

幸せとはこういうことを言うのか。間違いなく、この時はそう思った。

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