第15話 告白前

人生で今まで何度か告白をしたことがあった。

小学生、中学生、二十歳の頃。

成功したこともあったけど、勝率は低い。

だからその行為に対するトラウマみたいなものがあった。

でも今回ばかりはそんな事言っていられなかった。

理由は分からない。でもどうしても伝えたかった。


あっという間にバレンタイン当日。

プレゼントは用意した。仕事も早めに切り上げた。

逸る気持ちを抑えながらバーへ向かう。

明日の朝はどんな気持ちで迎えるんだろう。

店へ着くなり、すぐに彼女が来た。

大丈夫、冷静になれ自分。

僕:「あ、これ、バレンタインのプレゼント」

彼:「え?え?なんで?」

僕:「んー、逆チョコ?みたいな。実用的なものがいいと思って選んだ」

彼:「あ、あの、ありがとう。え、どうしようすごい嬉しい」


予想以上の反応に焦る。


僕:「いや、こちらこそ。喜んでもらえて嬉しいよ」

彼:「ん?こちらこそ。。。とは?」

僕:「あ、いや、こちらこそありがとうって思って」

彼:「え?あ、うん、何かわかんないけどありがとう。」

とりあえず、前哨戦は勝利。しかし新日本プロレスで例えると、

前哨戦で勝ちまくってるとタイトル戦であっさり負けるのだ。

気を抜いてはいかん。本当の勝負はこれからだ。


店長(とその彼氏)にはバレているのだが、そうは言っても緊張している。

営業中もソワソワして、俯瞰で見たらとんでもなく不審者だったろう。


そして営業終了。ここから僕の戦いが始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る