第13話 異変

年が明けた。

たった半月会わないだけでも何だかソワソワしていた。

その日は少し早めにバーに。新年初訪問。喪中だけど。


僕:「今年もよろしく。」店長に挨拶。

店:「大変だったね。」

喪中であることは、彼女から伝わっていたらしい。

どうやら彼女は少し遅れてくるみたい。

店の準備もほぼ終わっていたようで

「少し話そうか」と。


店:「あれからどう?彼女とは」

僕:「どうも何も、何もないよ。」他愛のない話。

店:「なんかしなさいよ~。せっかく。。。」

僕:「ん?何よ」

店:「いや、前にね、あんたが周りと雰囲気違うって言ったじゃん?」

僕:「あー、あれね。だから僕は十分楽しんでるんだって」


店:「それは知ってる。でもね、実は彼女も同じこと言ってたの」


僕:「。。。はい?」

店:「だから、あんたの事、気にかけてんのよ。あの子」

僕:「んなわけないやんw」

店:「いやいや本当に。てか最近あんたの事ばっか喋ってる」


僕は耳を疑った。そんなはずがない。

そんなことを言われたら、誰もが同じ反応をするはずだ。


僕:「彼女が。。。僕の話を?」

店:「うん。まぁ色々とね(笑)」


僕:「つまり、少なからず僕の事を意識している、という解釈でいいの?」

店:「硬い言い方ね。私はそう思ってるけど」


僕:「不思議で仕方ない。何の取柄もないし、イケメンでもないし、お金もないし、地位も名誉もない。もし仮に他より勝っているものがあるとしたら。。。」

店:「うん?あるとしたら?」


僕:「彼女への想い、くらいだ。」

店:「あんた、そんなクサイ事よく言えるね」

僕:「他が思い当たらないだけだよ。半年しか経ってないから自信ないけど」

店:「もう付き合っちゃいなさいよ(笑)」

僕:「簡単に言うなよ。そんな簡単じゃないよ。ましてや。。。」

言いかけていた時、店のドアが開く。彼女のお出ましだ。


彼:「あ。。。お邪魔でした?」

店:「え?いいのいいの。ヘタレ野郎の相談に乗ってたとこだから」


。。。随分な言われようだ。だがしかし、あながち間違いではない。

今まで以上に意識してしまう。もしさっきの話が本当だとしたら。。。

その日はまともに彼女の顔を見られなかった。

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