第12話 年末
当時我が家では、大晦日にボーリング→蕎麦屋、という行事があった。
祖父が亡くなった後だったが、「行かなかったらじいちゃん怒るんじゃね?」
ということで、弔いの意も込めて例年通り開催することになった。
その頃から頻繁に連絡を取り合っていた‐とは言えプライベートではないが‐
ので、SNS上に上げれば何となく反応が来る程度の仲にはなっていた。
「家族でボーリング、いいなぁ。私下手だから。。。」なんて、
聞いてもいないのに自分の腕まで晒される始末。
おいおい、大丈夫かよ、と思いつつ、少し嬉しい僕なのです。
結果はさておき、それより何より、君と出逢って初めての年末。
とはいっても、別にプライベートな仲になったわけでもない。
それでも、それでも君を知らなかった僕と知った僕では、明らかに違う。
何が、というわけでもない、けれど心の中で何かが変わったように思う。
まだ半年しか経っていないのに。そんな事を思いながら年越し蕎麦を啜る。
そして僕の中で、最高で最低な一年がもうすぐやってくる。
君はどう思っていたのかな。少しは僕の事、考えてくれてたのかな。
今更もう何も聞けないけど、あの時聞いておけば良かったかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます