第12話 年末

当時我が家では、大晦日にボーリング→蕎麦屋、という行事があった。

祖父が亡くなった後だったが、「行かなかったらじいちゃん怒るんじゃね?」

ということで、弔いの意も込めて例年通り開催することになった。


その頃から頻繁に連絡を取り合っていた‐とは言えプライベートではないが‐

ので、SNS上に上げれば何となく反応が来る程度の仲にはなっていた。

「家族でボーリング、いいなぁ。私下手だから。。。」なんて、

聞いてもいないのに自分の腕まで晒される始末。

おいおい、大丈夫かよ、と思いつつ、少し嬉しい僕なのです。


結果はさておき、それより何より、君と出逢って初めての年末。

とはいっても、別にプライベートな仲になったわけでもない。

それでも、それでも君を知らなかった僕と知った僕では、明らかに違う。

何が、というわけでもない、けれど心の中で何かが変わったように思う。


まだ半年しか経っていないのに。そんな事を思いながら年越し蕎麦を啜る。

そして僕の中で、最高で最低な一年がもうすぐやってくる。

君はどう思っていたのかな。少しは僕の事、考えてくれてたのかな。

今更もう何も聞けないけど、あの時聞いておけば良かったかな。





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