第10話 ファミレス

そんな怒涛の日々も終わり、年末に向けて忙しくしていた日

いつものように彼女のライブに足を運んだ僕は、

その日の夜、なぜか彼女と一緒にいた。

彼女の母親、マネージャーに囲まれたファミレス。


なんでこんな事になったんだっけ。全然思い出せない。

ただその場所にいるのは事実。そして君がいるのも事実。


空腹に耐えきれず、普通に注文。

待っている間も僕だけ気まずい。フワフワしている。

僕:「あ、ドリンク取ってきますね」

こういう時にドリンクバーは重宝する。

ドリンクバーを発明した人、導入を決めた人に感謝する。

とりあえずこれで少し時間を潰そう。。。


彼母:「気まずい?」

後ろを振り返ると彼女、の母親。

僕:「まぁ、立場的にどうかなと」

彼母:「ごめんね、私が強引に。。。」

そうだ、この人だった。

僕:「いえ、僕はいいんですけど、彼女がどう思うか」

彼母:「いいのいいの!あの子ああ見えて結構喜んでるから」

(いや、どう考えても楽しんでるのはあなたでしょう)

喉まで出ていた言葉をぐっと堪え、席に戻る。


彼:「すごく美味しそうに食べるね~」

彼女から言われた。唐突だな

僕:「え?そりゃまぁ美味しいしお腹減ってたから」

彼:「素直かw」

何だこれ、訳分からん。僕はここにいていいのか?

とはいえとっくに終電も無いので朝までコースは確定なのだ。


彼母:「なんかデートしてるみたいね。羨ましいわ~」

おいお母様、なんて事を。

僕:「何言ってんですか。第一僕らは。。。」

彼母:「あ、二人っきりじゃないからデートじゃないか。ごめんあそばせ」


。。。絶対楽しんでる。何がしたいんだ。

再びドリンクバーへ逃げる。すると今度は彼女がやってきた。

僕:「××(彼女の母親のあだ名)絶対からかってるよね」

彼:「なんかごめんね。悪気はないと思うんだけど」

僕:「んや、好かれるのは構わないんだけど」

彼:「あれ?年上好き?」

僕:「なぜそうなるw」

彼:「でも〇〇(僕のあだ名)優しいからさぁ。。。」


ん?僕が優しい?なんで?誰と比べて?


僕:「優しくなんてないよ。嫌われるのが怖いだけで」

彼:「そう?私にはいつも優しい人に見えるよ」

僕:「ずるいなw褒めても何も出ないよ」

彼:「えーじゃあこれ持って」

そう言ってカップを渡す彼女。

僕:「ホットとアイスを同時にって。贅沢だな」

彼:「だってダメって書いてないじゃん」


うん、やっぱり君はちょっと変わってる。

でもそれでもどんどん君に惹かれてく。

この想いは叶わなくても、それでもいい。

好きでいさせて。そう願った。

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