第9話 初めて

そういえばあの日、君と同じフレームに初めて収まった。

あの時の写真、もう無いや。

初めて君が違う僕を見た日。

初めて君に違う僕を見せた日。

君はずっと僕の目の前で笑っていた。

なのに写真の端と端で笑っていた僕ら。

何だか可笑しいね。


ライブ当日

できるだけの準備はしてきた。

もう後はがむしゃらにやるだけ。


メン:「おい、上手(僕のいる位置)の方すげえな」

彼女、彼女の母親、彼女の友人

3人並んでた。あちゃー


まぁいいや。やるっきゃない。

僕たちは全力を出し切った。はず。


ステージ終わり、呼び寄せた友人と他愛もない話。

そういえばお世話になった大学のサークルの先輩から

「今まで見た中で一番ギタリストしてた」って言われて嬉しかったな。


彼女ご一行とも合流。

僕:「来てくれてありがとう」そう言うのが精いっぱいだったね。

彼:「うん、あの、かっこよかったよ」いいんだ、嘘でもいいんだ。


彼女の母親からのゴン攻めに耐え、帰路につく。

なぜか彼女の友人と一緒に。今でもあの時の行動は謎だ。

彼女の気を引こうとしていたのか。愚かだな。

後日、何事も無かったように話せたのは救いだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る