第4話 映画

書いていくうちに色々思い出すものだ

この話も思いっきり記憶から飛んでいた

記憶を呼び起こすスイッチのようなものが

たまにピピピっと一気に鳴らされる


あれは夏の終わり、だったと思う。

「彼女の幻の出演映画が期間限定で公開される」

選択肢は一つしかない。

でも恥ずかしかったから友人を誘った。

友:「あー、俺は行けるか微妙だけど頑張ってみる」

ほら、あなたはいつもそう。行けたら行く。来いって。


彼女に見に行きたい!と言ったら

彼:「え?やだ、絶対来ないで。恥ずかしすぎる!」

もはやその照れ具合すら愛おしい。


で、当日、やはり友人は間に合わず。

当然のようにいる僕。それから数人。

映画の内容なんてほとんど頭に入らない。

それよりその作品に「彼女が出ている」という事実こそがすべて。


映画が終わり、談笑中に友人合流。さすがのタイミングである。

とても気まずい雰囲気を一掃してくれた。サンキュー。


どんな流れか、その後彼女とその友人が合流して食事会。

何この展開。謎すぎる。正直あまり記憶がない。

ただ目の前の光景が夢なんじゃないかと思っていた。

覚めてほしくなかった。この時間が少しでも続いてくれたらと。


その後友人と2次会

友:「熱心だね。単推しか、羨ましいよ。俺なんてDD過ぎてw」

言われて、ハッとした。

そうか、そういう風に見られるのか。

そりゃ本気になるなんて、普通じゃないもんな。

急に冷静になった。


僕:「まぁ、今はですね。いつまで続くか分からんです」

そう、気が付けば気持ちなんて冷めるんだ。

ただ今だけは。そう思った。

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