第118話 いざ勝負だ! ぬらりひょん
戦の知識を振り絞った画策から練った戦法から、おきつね銀翔は仲間たちを性格や特殊さや妖力などを知った上でいくつかのグループに分けていた。
「皆、良いか? 絶対に一人になるな、無謀にぬらりひょん
銀翔軍は固唾を飲んで、銀翔の次の言葉を待つ。
「絶対に、死んではならない。生きて帰れ!」
「「うぉぉぉ―――!!」」
命がけで戦に向かう者たちの気合いを入れる
戦場に
否応なく迫る戦いへの逸り沸き立つ気持ちはおさまるところをしらない。
背にはうかのみたまの神様が作ったカフェと稲荷神社があり、人間界の出入り口もある。
おきつね銀翔たちが幾重にも張り巡らせた結界が人間界への戦の影響を減らしてくれるだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆
――いよいよ、決戦の時が来た!
ぬらりひょんの支配下の妖怪軍が、50メートルほど離れて銀翔軍の前に並ぶ。
うかのみたまの神の
時は夕刻五時をわずかばかり過ぎて、銀翔の側人のウサギのバンショウが太鼓を打ち鳴らす。
「――わぁぁぁ――っ!!」
双方の妖怪たちが走り出して、決戦の火蓋が切って落とされた。銀翔は両手から火炎を出しまくり真っ先に駆け抜けた。
「進めぇー! 貴様ら、怖気づくな、怯むな――っ!」
ぬらりひょんは微動だにしない。自分は掛け声や罵倒、命令を出すだけだ。
自身の周りをかまいたちや土蜘蛛、
烏天狗たちは空中から弾丸のようにスピードを出して降下しては、銀翔軍の隙がある者たちに襲い来る。
ナナコは人の姿から光の珠になった四神獣を体内に受け入れた。
そうすると、ナナコは
銀翔にナナコは最後列にいて動くなと言われてい。ナナコの列には妖力は高いが戦の経験の少ない者や攻撃よりも防御に長けた小鬼や小さな動物たちの妖怪が稲荷神社や結界を、仲間たちを援護している。
ナナコは手に朱雀の火炎の弓を持ち狙いを定めて次々と空中の烏天狗たちを撃ち落としていった。
ナナコが矢を放った妖怪は撃たれても無傷だった。ナナコは白虎のスズネに頼み武器の特性を変えて、弓矢には眠り薬や捕り縄を出せる仕掛けをした。
空を覆っていた烏天狗はほぼ壊滅。
速やかに地面に落ちた烏天狗たちをバンショウや北斗羅たちが逃げないように深く眠らせて捕らえていく。
「ナナコ様ぁ! なりませぬぞっ」
バンショウの制止を聞かずにナナコは銀翔の元へ走って行く。隣りをナナコに気づいた雪女の雪菜が並走してついて来た。
「ナナコ!」
「雪菜ちゃんっ」
雪菜は苦笑いをしながら、襲い来る大蜘蛛やのっぺら坊を氷漬けにしていった。
「だめじゃない、大人しくしてないと。援護や防御も大事な戦法なんだから」
「ごめんっ!」
「背後を守る信頼する味方、仲間がいるからこそ先陣は無鉄砲に戦えるのよ」
「ごめんっ。でもっ――! でもね、私はっ!」
ナナコは走りながら謝った。ろくろっ首が後ろから追いかけて来るので、いったん走る足を止め踵を返して、扇を開くと玄武の薫の力と青龍の龍太の力が合わさって大量に水が放出され激流が飛び出し、ろくろっ首を遥か先まで流して行った。ろくろっ首は人間に姿が戻った。
「うふふっ! やるじゃない。私ほんとはさっきのナナコを攻める気なかったんだからね。分かっているよ。ナナコはおきつね銀翔のトコ、行くんだよねっ?!」
「うんっ! 私、銀翔と一緒にいなくちゃいけないの。離れちゃだめな気がするんだ」
「オッケー! ナナコを守る。援護するから、私も行くわ。任せてよっ。ねっ!」
雪女の雪菜はそのままナナコと並んで走る。
ウインクする雪菜は戦場に似つかわしくないぐらいチャーミングに笑った。
明るい雪菜にナナコは引っ張られるように気持ちが高揚していく。
――そうだ。
きっと、大丈夫。
――うん、大丈夫だよね?
きっと、私たち勝てるから!
友達の仲間の存在が、そんな風に強く思わせてくれる。
「ありがとう、雪菜ちゃん」
妖怪たちの戦いが激しくなるなか、二人は攻撃しあう者たちのあいだあいだを上手く走り抜けて行った。
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