第105話 朱雀と狐火
ぬらりひょん目がけて、銀翔が狐火をいくつも仕掛けていくが、難なくかわされる。
うかのみたまの神が印を結び呪文を唱え始める。
ぬらりひょんは高く飛び上がると、懐から素早く吹き矢を出してうかのみたまの神に向かって毒針を吹き飛ばしてきた。
「死ねぇー!」
「むぅっ…」
うかのみたまの神の前に朱雀の姿の緋勇と銀翔が飛び出し体を張り狐火を放ち風を起こし、ぬらりひょんからの攻撃を防ぐ。
続けて緋勇が翼から火を出し、銀翔が狐火と緋勇の火炎を両手で束ねて放つ。
業火は
銀翔の放った炎を依り代の薫で受けようとしているのだ。
「いかんっ!」
「銀翔!」
ぬらりひょんは高らかに笑う。
「はっはっは。自分たちの仲間を犠牲にしても良いんだなぁ? ケッ。神の眷属のくせに人間を殺しにかかるとは……笑わしやがる」
ぬらりひょんの寸手で銀翔は攻撃をやめた。
「これでは攻撃は出来ぬの」
銀翔は口惜しげにボソリとこぼす。
「ぬらりひょん、卑怯だぞ!」
緋勇は噛みつかんばかりに大声を張り上げた。
「卑怯だと? はあっ? てめえら、何を抜かすか。俺様がこの世界でどれだけ我慢を強いられたと思っているんだっ!」
じっと銀翔と朱雀はぬらりひょんを睨みつけたまま、策を思案する。
(なにか、打つ手はないかっ!?)
銀翔と緋勇の額から汗がぽたりと落ちる。
「お主の行いがどれだけの不幸を生んだと思っておる! 邪悪な力は、人間世界だけじゃなく妖怪たちの世界にだって、平和を壊すものでしかないであろう!」
「平和などいらん」
「ぬらりひょん」
「妖怪のエリートの貴様には分からぬのだ」
ぬらりひょんと銀翔が対峙して、朱雀が二人の上を飛ぶ。
うかのみたまの神は印を結んだまま動かない。
ビリビリと周りの空気が震えている。
力が強いものが揃い戦うことで、放つエネルギーが溜まり結界内が今にも爆発しそうだった。
「やめてっ!」
そこに鋭い声がした。
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