第74話 うかのみたまの神
狛犬のシンラと狛犬の北斗羅が仕える稲荷神社の神様。
名をうかのみたまの神と申しました。
おきつね銀翔は、うかのみたまの神の元に生まれ出でた。
そのまま銀翔は、うかのみたまの神様の眷属として存在を認められるようになりました。
幼いころより銀翔はうかのみたまの神とやんちゃをしておりました。
いたずら好きの二人はよく人間界に下りては人間たちをからかい、天から気まぐれな雨を降らしたり、時には飢饉にあえぐ人々を救ったりしました。
雪など降らぬ夏に妖怪たちと競っては、銀翔とうかのみたまの神の合わせ技で大雪を降らせて天界の神々から叱られたり、過度な干渉を禁じられた人間たちへの運命を狂わす奇跡を好き勝手に起こすと、また偉い神々に叱られる。
懲りずに人間たちと関わる、うかのみたまの神は一方では荒ぶる神として手が付けられない、いたずら者になっていった。
だが、うかのみたまの神に使命が下る。
この使命が、うかのみたまの神の転機となる。
人間界に鎮守の杜を築き、四神獣を誕生させて加護をする。
うかのみたまの神は年齢を重ねるごとに人間をもっと好きになった。
人間たちのためになることをしよう。
大人になったうかのみたまの神の加護への思いは強くなって、銀翔へもその意志は伝わる。
二人は風森の丘で誓いあった。
「この世界を守りゆくのだ」
「ワシもこの世界を守りたい」
「銀翔、私はもうやたら滅多に力を振るうわけには、いかないのだ」
「それはどうしてなのかの?」
「神の力は強大すぎて、人間界の均衡を崩すだけの危うさがある」
うかのみたまの神は天界に戻ることを銀翔に伝えた。
銀翔は人間界に残り、神の『仕い』の立場として役目を授かった。
うかのみたまの神にとっては、おきつね銀翔は他の眷属よりも仕える者としてではなく、兄弟のような親友のもののような立場で親しく信頼が厚くあり、誰よりも銀翔の幸せを願っているのであった。
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