第69話 銀翔と雪菜

 銀翔は雪菜に一言二言話して、雪菜がコクリと相づちを打つと銀翔は鞭を振りかざし床を十回ほど連続して打ち付ける。

 床に2Mほどの亀裂が入った。

 くうを切る鋭い音が響き鳴り、銀翔はそのままの勢いでぬらりひょんに仕掛けようとしたが、黒いもやがぬらりひょんの体からユラリと出て、銀翔のむちに絡まる。


 銀翔を襲うもやを見てぞくりと寒気が背筋をう感覚が雪菜を襲った。

 もやから時々人の顔が見える。

(すぐ勝てるだなんて、甘いことを考えていたわ)

 雪菜はぬらりひょんの事を見くびっていたのかもと、少々後悔した。


 もやは人間たちから集めた負の感情なのだ。

「なんておぞましい」

 雪菜は体の周りに雪とひょうの風を起こして銀翔の前に出た。

 雪菜はぬらりひょんとの前に雪をどんどん降り積もらせ、壁を作り出していた。

「ふっ。ぬらりひょんがどうやって、人間たちから負のエネルギーを集めているのか、想像するだけで奴に怒りが湧く」

 銀翔はかまいたちの作り出す風の刃を水流で打ち消して応戦する。


「取り憑き殺すか、人間を飼いならすのかしら?」

「わざと人間を不幸に陥れたり、存在を否定し続ける者をそばに置くか、などするのかの」

 銀翔も雪菜も皮肉な笑みを浮かべていた。

 二人は空中にあがり飛んでくるカラス天狗と、かまいたちと睨み合い見据えて斬りつけ合い、意図して銀翔と雪菜はぬらりひょんより離れて行く。


 ぬらりひょんは雪菜の作った妖力を込めた雪の壁に錫杖を何度も叩きつけ、突いていたが壁はビクともしない。


 苛立いらだちを覚えたぬらりひょんは妖術の呪文を唱えだしていた。

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