第49話 黒い羽根を持つ者たち

「グワオォッ」

 恐ろしい鳴き声がしてナナコは両手で耳をふさいだ。

 暗くなった天空を飛ぶ者たちがたくさんいたのです。

 暗くなった辺りよりももっと黒々とした妖かしたち。

 黒い闇のような羽根をせわしなくバサバサとさせて飛び回り出した。

 20体はいるであろうか?

 

「カラス天狗だっ!」

 オロチが叫ぶと銀翔は「狐火伝昇華きつねびでんしょうか」と鋭く叫び、狐火をあたりに無尽蔵にばらまきながらナナコを抱き上げました。

「銀翔っ?!」

「いったん屋敷に戻るぞ」

 オロチが牙涼刀を二本叩き合わせると火花と煙が上がり銀翔が先に撒き散らした狐火に引火した。


 ボオッと一瞬目が眩むほどの光が一面に注いだ!


 オロチが両手で印を結ぶと、空中に不思議な穴が現れて銀翔はナナコを抱きかかえて飛び込みました。

 オロチもすぐに続いて空中の穴は瞬時に閉じる。

 穴に飛び込んだ三人は結界を張った銀翔の館に戻って来ていた。


 バシャァッン…。

 ぬらりひょんがおきつね銀翔に攻撃するべく作った田んぼの水の渦が行き場を失って地面にいっせいに落ちた。

 激しい飛沫しぶきが地面に跳ね返り舞う。


 あとには不敵に嘲笑わらう大妖怪ぬらりひょんの姿がゆらめく薫と片膝をつき薫に頭を垂れるカラス天狗たちがいた。


 

 

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