第4話 傷ついた男の子

 相変わらずザーザーと激しく降る雨。夕立ちの勢いはまだ衰えません。

 ナナコは「大変だっ」と一言呟いて男の子を抱き上げ手芸店に運び入れました。


「ねぇっ?! 大丈夫?!」

 男の子の体を揺すったりしたけど一向に目を開けてはくれません。

 ナナコ袙病院に連れて行った方が良いかもしれないな思いました。


 とりあえず手早くTシャツを脱がせて部屋からバスタオルとナナコの服で長めの袖つきのパジャマのワンピースを持って来て着替えさせました。


 まだ彼は目を開けないし左手はグーにして何かを握ったままで絶対に開きません。

 ワンピースの袖も男の子が着ていた服の袖も穴が大きかったから着替えるのには問題なかったのですが。


「この子、いったい誰だろう?」


 ナナコには仲の良い幼稚園児の従姉弟がいたので年下の子のお世話には慣れていました。


 着替えさせるぐらいはなんて事はありません。



 男の子の傷の血を拭いて手当をしてあげ、風邪をひいては可哀想と濡れた髪をドライヤーで乾かします。


 ――くせっ毛で隠れていましたが何やら気になるモノがぴょこっと現れました。


「こっ、これって!」

 男の子の頭に耳があります。

 ぴょこんと人間にはありえない位置に犬の様な獣耳がついています!


「仮装じゃないよね?」


 そこでようやくパチリと男の子は目を開けました。

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