第3話 新若林二葉
水野家には掟以外にも変わったことがある。水野家の血を継ぐ者はそれぞれ睡眠の前後にやらなくては機嫌が悪くなることがある。二葉の場合、自分が起きると決めた時間ぴったりに起きること。また、その時間よりも前に起こされると次に自分で起きるまで機嫌が悪くなる。二葉は自分は穢れた血なのにこんなことは水野家の血筋通りなのかといつもうんざりしている。
どれくらい泣いていたのだろうか。二葉本人も分からなかった。泣きつかれた二葉はそのまま寝てしまった。そして、次の日の朝。
二葉はギリギリ梓が起こしに来る前に起きることができた。二葉は梓に自分を起こそうとすると機嫌が悪くなることを説明した。水野家の掟の話を聞いたあとの梓はすぐに受け入れることができた。
「佐藤先生の提案なんだけど、男の子の体のまま学校に通うのは難しいだろうから、二葉ちゃんのことを知ってる人がいない学校に男の子として転校するば?って言ってるんだけどどうする?あと、転校するならその事はなるべく人には言わないこと。だって。それと、先生の家で二葉ちゃんを引き取ってくれるらしいよ。なんか、もう親とかに頼れないみたいだから。」
二葉は転校すると決意した。
「わかりました。ただ、1人だけ転校することを伝えたい人がいるんですけど、いいですか?」
二葉がそう伝えると、早速手続きをするため、二葉と佐藤先生と梓は雅代に連絡をした。転校することなどすべてを話すと雅代はこう言った。
「別にもう二葉は赤の他人だから好きにすればいいわ。ただし、二葉が水野家の人間だったとバレたり、女だとバレたらその時点でまた転校してもらうから。」
こうして二葉はたった1人を除いて誰にも知られることなく新しい学校に男として転校することになった。
そのたった1人とは…
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