第2話 掟と二葉の過去。
二葉は自分の家族の話を始めた。
「私の祖母の名前は
壱.一族は頭主に逆らってはいけない。
弍.頭主は長女であること。
参.跡取りは現頭主の孫であること。
肆.跡取りが大人になった時点で跡を継ぐこと。
伍.水野家の人間は大人になる手前で査定を受けること。不合格ならば穢れた血と呼ばれる。
陸.査定の基準として、水野家の人間は勉強又は運動能力に優れていることを条件とする。
漆.水野家にとって女の子は大切なもの。たとえ穢れた血でも明るく元気で活発。誰にでも優しく接することができる。これを女の子のみに適応する条件とする。
捌.穢れた血は家族と認めない為、絶縁する。
この八つの掟が私達水野家の全てなんです。何をするにもまずはこの掟を破ってないかを確認します。だから祖母が言ってないことなどを勝手にやるのはダメだったり、祖母には誰も反対できないんです。」
「ん?なにその変な掟。意味わからないな。」
佐藤先生が言った。
「うーん、確かに変ですよね。」
二葉がそう答えると佐藤先生は梓と顔を見合わせて言った。
「たとえ掟でも自分の子供を捨てるのは違うと思うけど。」
「多分、母も父も私のことを自分の子供と思ってないと思います。私は水野家の跡取りだから仕方なく育ててあげてる感じ?」
二葉の答えに佐藤先生も梓も何も答えられなかった。そして、二葉は思い出したようにこう続けた。
「昔、母の妹に聞いたんですけど、子供の頃2人で自分の子供は2人がいいなぁって話してたそうです。なのに私は3人兄弟。だから母にそれとなく聞いてみたんです。なんで3人なのかを。そしたら私の子供は2人だよ。って言われました。つまり、私はあの人の子供じゃないってことです。」
佐藤先生と梓はもう何も言えなかった。何かを言うことができなかった。
2人が病室から出ていくと二葉から今まで我慢してた涙があふれてきた。
なにも悪いことをした記憶はない。自分はどんなに苦しくても我慢してきた。自分の感情を押し殺しておばあちゃんの望むような人になれるように頑張ってきた。どんな理不尽なことにも耐えてきた。
こんなことを考えれば考えるほど涙はあふれてくる。止まることはない。自分の感情のままに泣いたのは一体いつぶりだろうか。そもそもからして自分の感情のままに泣いたことはあるのか。二葉はそんなことを考えながらもう今日はおもいっきり泣こう。もう自分を縛る掟も縛るおばあちゃんもいない。それならおもいっきり泣いたっていいじゃないか。と思った。
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