神様のオルゴール。その2

覚悟は出来ていた。下手したら殺されるかも。


その覚悟もとうに出来ていた。


一歩踏み出すために、全て無かったことにする。


「……来た、か」


屋上の扉が、ギィ、と音を立てて開く。


死刑執行の合図みたいで気持ち悪かった。




そして、彼女が現れる。


墨色の髪はいつも以上に乱れ、瞳は淀んでいる。


夏服の半袖シャツは埃まみれだった。


そして、その手には、最悪のラブレターが握られていた。


「……」


フラフラとした足取りで僕に近づいてくる。


凶器を持っているかなんて怯える必要はない。











だって、彼女が僕の数メートル手前で発狂することは折り込み済みなんだから。




「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


喉が潰れるのも構わないといった感じだ。


本当に腹の底から絶叫している。


そして、くしゃくしゃになるほどまでに強く握られていた手紙を奪い取り、










ーー彼女の視線が、その手紙を追う
































ビリビリに、破り捨てた。

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