読み取る。神のみぞ知る。
八月三十日。
その日、覚悟を決めた。
終わらせるんだ。そう自分に言い聞かせる。
安住してはいけない。この日々を終わらせよう。
***
八月三十日。
わたしは、彼に電話で呼び出された。
ほぼ一週間ぶりだった。
実を言うと、彼の考えは、読めていた。
オルゴールを持って行った時点で、全て悟った。
だから、わたしは怖くなって電話に出なかった。
すぐに留守電に切り替わる。
『鹿島か? 聞いてたら折り返し電話くれ』
安心する声。ずっと聞いていたい。
だから、離れたくなかったから、友達で居続けた。
「いや、いやだよ……。ねぇ、尾上くんっ……」
わたしの叫びは誰にも届くことなく、部屋に反響する。
すると、留守電はまだ続いていたことに気づく。
耳をすませる。
『鹿島、キミに、伝えたいことがある。明日の夜に、学校で、1-3の教室で待ってる』
それで確信した。
ああ、終わってしまうのだと。
仮初めだけど、たしかに幸せだった日々が、終わるのだと……
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