読み取る。友達と勉強会。その2

「ここ、分かんない。√4はなんで2になるのよ」


「あ、これは……」


おいおい坂元よ。それが分からなくてどうやって期末テストを乗り切ったんだ。√4が2になるのは初歩中の初歩だ。


雨宮が困ってるぞ…。


「aベクトルとbベクトルのなす角はどうやって求めるんだ?」


「……これは、内積を求めてから、コサインを使って、解く」


玉木と鹿島は何してる?


え、数B? 何してるんだ、この二人は?


「何で解けるんだよ、二人とも…」


「努力だな!」


「汗と血と涙の結晶…」


玉木と鹿島がガシッと握手する。


さっぱり分からない。二年の範囲だろ、それ。


そうやって内心毒づきつつ、一人寂しく問題集に向かう僕だった。





「いやー、疲れた!」


坂元が体を伸ばす。問題集のノートは白紙同然だった。


「亜希子、真面目にやってよ…」


トホホ、と雨宮が崩れ落ちる。道のりは険しそうだった。


「ここは、こう?」


「お、そうだ。だから、この数列は…」


キミ達はどこまで進む気だ。いいから戻って来いよ。


また仲間外れを食らう僕だった。


***


「よし、終わり! お疲れさま!」


勉強会が終わったのは、午後一時過ぎ。


正直、鹿島&玉木ペアのレベル差には唖然とさせられるばかりだった。


五人の携帯の番号とメアドを交換して、それぞれ帰路に着く。


「鹿島」


「どうしたの、尾上くん」


彼女が廊下で振り返る。


「……また、な」


ぎこちなく手を振る。


「うん。また、ね」


彼女は少し恥ずかしそうに笑って、手を振り返した。

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