第4話
「今日は学校を休みなさい。あなたは疲れているのよ。
今日一日ゆっくり寝れば良くなるわ」
意味不明な母の言葉を聞いていたが、
なぜかそれに納得してしまう自分が居る。
(そうか、僕は疲れているんだ)
朝ごはんを食べて母にそう言われて自分の部屋に戻っていった。
学校には母が電話をかけてくれると言うがどう言うのだろうか?
「息子が女の子になったので、今日は学校を休ませていただきます」
このような電話がかかってきたら、僕ならこう答えるだろう。
「お母さんはまず病院に行ってください。」
お姉さんも学校に行った。
家には僕1人で居ることになった。
1人で居ることによって、
冷静になって自分の身体を良く調べることができた。
結論から言うと僕の身体は完全に女性になってしまっている。
身体の変化を見てみたかったので実際に図ってみた。
目線が低くなっているので計測してみると158センチくらい。
体重も軽くなっている。体重計に乗ってみると44キロだ。
もともと身長173センチ、体重66キロだったので、
たった一夜で身長が15センチ縮み、22キロ痩せたことになる。
お姉さんのメジャーを借りて3サイズを図ることにした。
なんだろう男としてやっぱり女性の3サイズは気になるもので、
それが自分の身体であっても女性になると3サイズを知りたい。
バスト78.4センチ
ウエスト60.6センチ
ヒップ85.6センチ
この数字というのは一般的な女性から見てどうなのか?
比較対象がないので判らない。
身近に居るお姉さんの3サイズを聞いておけばよかったと後悔する。
そしてもう一度トイレに入る。
そして着ている服を全部脱いでみる。
やっぱり男性としての象徴が付いてない。
そして明らかに女性のそれになっていると思う。
思うというのは実際に僕は女性のものを見たことが無いのだ
高校一年生で実際に見たという人は少ないであろう。
ネットのエロ動画で見たくらいだ。
その知識から言うと女性のそれにそっくりだ。というより同じものだ。
よって女性のそれになっていると認識する。
試しに動画のように触ってみて実際に気持ちがいいのか、
自分で触ってみたが、ただ単に痛いだけだった。
結論、動画のように気持ちがいいものではない。実際は痛い。
胸のふくらみも本物だ。すごくやわらかい。
でも気持ちがいいかというとよくない。逆に気持ちが悪い。
脱いだ服を着てトイレから出た。
二階に上がり自分の部屋に戻ってきた。
一夜にして女性になった僕の身体。
これからどうする。元の身体に戻るのか。
ここで昨日の恭也の漫画を思い出した。
男の子が女性化してしまい、
友人をスマホで呼び出し友人に相談する。
そしてラブホテルに行きセックスする。
はっきり言うが冗談ではない。
そんなことになってたまるか!である。
しかしどうすることも出来ないのも事実。
僕自身がなぜこのような身体になったのかわからない。
他人に聞いて答えが見つかるわけが無い。
何も出来ぬまま、どうするか答えがみつからないまま
時刻は過ぎていきお昼になるのであった。
電話がかかってきた。
電話を取ると母からだった。
「お昼だけど自分で作れる?作れないならお弁当を買ってきなさい」
冷蔵庫を見ると食材は沢山ある。
炊飯器にはご飯もあった。
しかし自分では何も出来ないことを知る事となるのである。
「お母さんが来るまでおとなしくしていなさい。今日は早く帰るからね」
涙が出てきた。僕は初めて母親の電話で泣くこととなった。
「泣いても仕方が無いのよ。誰もどうしたらいいのか判らないんだから。
ひとまずコンビニでお弁当を買ってご飯を食べなさい。わかった?」
電話を切って僕はつらく寂しくなったのであった。
自分の身体の変化。どうすることの出来ない辛さ。
すごく心配してくれている母の電話。
普段は一人で居たいと思っていたのに、今日は一人がとても辛かった。
そしてもう一度、電話が鳴る。
僕は急いで電話に出た。
「大丈夫?今日は部活があるけど急いで家に帰るからさ。
それからどうするかをしっかりと話し合おう」
お姉さんからの電話だった。
「お姉さん、この身体ってどうすればいい?」
僕は不安になってきた。そして母やお姉さんにすがりたかった。
とにかくこの身体の答えを知りたいとおもった。
「私にもわからない。だから話し合おう、お母さんと一緒に。
しばらくの辛抱だから待ってるんだよ」
お姉さんの言葉がとてもやさしく聞こえた。
とても頭がいい姉。後輩に慕われる姉。僕の大嫌いな姉。
でも今はとても大切な姉であった。
お姉さんの電話を切り、僕は激しく泣いた。
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