現代編

第22話、社畜には時間がないもの

時の魔女、アーリナは吉田将也と言うものに世話になることになった。時の魔女からしてみれば寝床を確保できるうえに傷の手当てもしてくれたので良いことばかりであった。




だからこそである、知らない赤の他人をここまでしてくることは何か目的があると考え信用しておらずいつでもいいように警戒していたができる限りそれを出さないようにしていた。




家は狭かったがそれでも二人暮らしていくには別に問題はなかった。吉田将也は簡単に作れるものですぐに作り出して夕食をしたのである。もちろん、アーリナも一緒に食べたがそれでも警戒を解くことはなかった。それに気がついたのか吉田は



「そんなに警戒しなくても殺しはしないし変なことをするつもりもない。ゆっくり休んでくれ、狭いから休めないであろうと言われたらそこまでだけどまあ、少なからず外よりかは安全だからさあ」



アーリナは確かに少なからず今は特にする様子もないので吉田の言う通りに休むことにした。冷静になれば体力が戻ったらこのような男に後れを取るはずもないと考えた。



吉田はどうしたら警戒心をなくしてくれるのかなと思いながらも明日に備えて寝たのであった。




翌朝、アーリナが目を覚ますとすでに吉田はおらずテーブルに紙に書かれていた文章があった。アーリナは確かめてみることにした、内容は



アーリナへ


朝早くから仕事がありますので先に起きて行きます。食べ物は準備しましたので食べてゆっくり休んでください。暇でしたらテレビやゲームなどして待っていてください。無理だと思いますがパソコンも使えたら使っても構いませんよ。夜九時までには帰ります。


吉田より



アーリナはとりあえず帰りが遅くなることが分かったがいろんなものを使ってもいいと言われても使い方がわからないので本でも読むことにしたのであった。



一方、吉田はと言うと



「相変わらずに忙しいですけどー、誰もいいから手を貸してほしいよ。次から次から仕事が来るよ」



いろいろと一人で愚痴を言いながらも仕事を進めていた。一人でその場を回していたので誰にも聞かれることなかったので本心丸出しで言っていた。そもそも一人で数人分ぐらいの仕事をしろと言う方が無理の話である。



それでも吉田は頑張って仕事をしていた。それは生活のためにそして趣味のために生きていた。そのおかげで友達は少なく、数人ぐらいの上でほとんどが亡くなってしまっているので人と話す時は仕事以外はほとんど無くなっていたがアーリナという楽しそうに話せそうな人が来てうれしくなっていたのか、その日の仕事はいつもりも早く終わっていた。



だが、早く帰れると言うこともなく朝、五時から始まった仕事は夜、八時半にようやく終わり家に帰る時には九時は回っていた。へとへとで吉田は家に帰るとそこには本を読んで待っていたアーリナがいたのであった。



吉田はアーリナは本が好きなのかなと思いつつただいまと言った瞬間、吉田にとって見つけてほしくない物がすぐそこにあったのである。それは吉田が好きな薄い本であるが見事に読まれたような感じであった。吉田は読まれていませんようにと思いながら話しかけようとしたら



「あ・・あの、これは・・まあ、男ですから仕方ないことだと思いますけど目に留まる場所にはおいてほしくはなかった・・ですね」



「は、は、恥ずかしいーー。ものすごく恥ずかしい絶対に中身、見たよね。完全に俺の好みなどがばれたよね」



「いいえ、中身なんて見ていません。メイド服や魔女キャラなどが好みなんて知りませんから。」



「嫌ーーー、絶対に見たでしょう、もろにバレているし恥ずかしすぎてやばいですが・・でもアーリナを襲うつもりはないから安心してください」



吉田はとりあえずアーリナを襲うつもりがないことを表明した。ここでしておかないと変態扱いのままにされてしまうと考えていたからであるがもう十分と変態であるが



「大丈夫です、吉田さんなら襲わない・・・・と信じていますから」



「その間はなんですか、絶対に信用していないでしょう。いくらアーリナが魔女だからと言って襲うつもりはありませんし勇気もないというか・・」



吉田とアーリナはとりあえずこの話を切り上げないといつまでも続きそうな気がしたので切り上げて夕食にしたのであった。そして夕食をしながらも会話をしていた。



「そう言えば、アーリナは本とか好きなのか」



「そうじゃないけどできることがあんまりなかったから。この家にある物が使い方わからない物ばかりだからね」



「・・・済まなかった、そうだもんな、異世界人が急に現代の物が使えるはずがないよな。こうなったら俺が教えてやるからいろいろとやってみてくれ。特にゲームは気に入るはずだよ、まあ、歴史ものが多いけどほかにもあるから自由にやっていいぞ」



アーリナは吉田が良さそうな人で良かったと思う反面、どうして自分にここまで世話をしてくれるのであろうかと疑問に思ったが・・まあ、自分が魔女キャラみたい感じだから世話をしてくれるのかなと思いながら食事を終えて体力を回復させるべくふとんに入り睡眠をしたのであった。



吉田もアーリナが寝たのを確認して自分も布団に入ってタイマーをセットしてから睡眠をした。





アーリナは懐かしい夢を見ていた、それは昔、三兄妹で暮らしていた時の記憶であった。昔はあんまりいい思い出はない、親にほとんど見捨てられて自分たちでなんとか生きていくしかなかったので余裕がなかった。アーリナはお腹が空いて泣いているといつもフェンリルフェンリル兄さんが



「わかった、わかった。これをやるから黙っていろ」



そう言ってアーリナにフェンリルが分け与えた。そして寒くなればフェンリルに寄り添って寝ていた。ここでいつもアーリナは



「どこにもいかないでください、お兄ちゃん」



そう言うがいつも夢の中のフェンリルは黙っていくが今回は違ってアーリナを優しく包み



「もちろんだ、ずっとは無理だが今はどこに行かないでやる、約束だ。」



アーリナはいつもと違い展開に驚いていたがそれよりもぬくもりが心地よく考える前に甘えていたのであった。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る