第19話、桜の過去(後編)

私はその日も当然化のように過ごしていた。平和に暮らし修行をしながら雅さんの手伝いをしていくことが当たり前になり幸せな生活であった。




しかし、その幸せな生活もある日、突然に崩壊した。それは時の魔女の襲来であった。時の魔女、雅さんにとって因縁の相手であり恨みを持っている人物であり私もその魔女に戦えるように修行をしていたがまさか、こんなに早く対峙することになるとは思ってもいなかったが



私はこれはチャンスではないかと考えた。いくら襲撃してきたとはいえ地の利に雅さんがいるのである。私も加わったら勝てると思い戦いに行こうとしたが



「桜ちゃんはこの先は本当に危ない状況になるから逃げて。私が迎えに行くまでそして隠れていて。」



私は彼女の言葉を聞いて反対しようとしたが彼女はとても険しい顔していたので反論する気持ちも無くなり素直に聞いてその場から逃げ出した。本当は一緒に戦いたかったが今の自分では足手まといと彼女はそう思い私を逃がしたのであろう。



もっと努力していれば一緒に戦えたかもしれないのにと思いながら走っていたら私の前に一人の女性が立ちふさがったのである。そして不気味な笑顔をしながら私に対して言ってきた。



「そこのお嬢ちゃん、この辺にいる吸血鬼は知らないかしら。その吸血鬼を殺しに来たのけれども居場所を教えてくれないかしら。無駄な争いはしたくはないの。」



私は直感でこの女が雅さんが言っていた時の魔女だと感じた。そして何とも言えない恐怖も感じた、逃げろこの女は危険だと本能がそう言ってきたのである。私は本能に従い逃げ出そうとしたが



「人の話し中に逃げ出すなんて悪い子ね、私はただ憎き吸血の居場所を教えてほしいだけのよ。それさえ教えてくれたら君に用はないから。」



先ほどまでそれなりにあった距離が次の瞬間にはすぐ隣まで来ていた。私は急いで距離を取ろうとしたがそのたびに時の魔女は私のすぐ隣に来て面白そうに見ていたのである。それはまるで楽しんでるかのように見えた。



「そんなに怯えちゃって可愛い、どうかしら一緒に吸血鬼狩りでもしない。その後も可愛がってあげるから。こう見えてそれなりの身分でね、一人ぐらい可愛いメイドがほしいかなと思っていたのよ。」




それはまるで獲物を見つけた蛇見たい目で私を見つめていたのである。正直に言ってとても怖かったけどそれ以上に恩人をそんなことを言われて怒る感情が勝り



「そんなことは絶対にしない、私の命の恩人とも呼べる。雅さんだけは絶対に裏切らない。かかってこい、時の魔女。」



「あら、とても可愛いのに態度は一人前なのね。そんな生意気なところも良いわね、あの吸血鬼を殺した後は・・・私があの吸血鬼の代わりにでもなってあげましょうか。」



私はこの女はどこまでも雅さんを侮辱をすれば気が済むと思うばかり雅さんを否定する。だが、冷静になって戦わないと思って戦いの構えをした時であった。



「そんな怖いことをしちゃうとこちらも対応しないといけなくなるからしてほしくないかな。」



すでに時の魔女は私の背後についておりいつでも殺せる準備をしていた。それでも私は雅さんに迷惑をかけたくないと思い勝算が少ないのは分かっていたが反撃をした。



しかし、これもやはり読まれており時の魔女は何事もないように私の攻撃を避けた上で私の後頭部に一撃を食らいその場で気を失った。



それで次に意識を取り戻し目の前に広がっていた光景を見て思考を停止するほどであった。私の前に血だらけの雅さんがいたから、どうして雅さんは強いはずでこのような者たちに後れを取る人ではないことは知っているのでどうしてと考えたが答えが分かったのである。



「さ・・桜、意識を取り戻した・・のね。よかった、生きているうちに伝えられて・・・ね。」



私はその場の周りの状況を見てわかってしまったのである。雅さんがここまで傷を負っている理由も自分がどうして生かされている理由も雅さんは・・・捕らえられている私のために抵抗もせずに攻撃を受け続けたということを



私は雅さんに対して叫んだのである。



「雅さん、私のことはどうでもいいから戦ってください。雅さんならこんな奴ら倒せるでしょう。未熟で恩もろくに返せないダメな私を見捨てて戦ってください。」



私は自分の命などどうでもよかった、それよりも恩人である雅さんが生き残れるなら自分などここで終わってもいいと考えていた。だが、帰ってきた言葉は



「そんなに簡単に見捨ているわけないでしょう、あなたはまだまだ若い、明るい未来を待っている子供を目の前で・・それも自分の手で幕を閉めさせることなんてできないわ。それぐらいなら自分の終焉を迎えさせたほうがましよ。」



雅さんはあれほど傷が追っているのに自分に対して笑顔にそう言ってくれた。だが、私はこのままでは本当に雅さんが殺されてしまうと思い必死に抵抗したが無駄であった。



時の魔女が拘束魔法を私にかけて動けなくしていたために助けることも自らから命を絶つこともできなかった。ただ、雅さんがどんどん弱まっていく姿を見ているだけであった。



私は泣いた、恩人が・・・心から好きな人が目の前で殺されそうにしながらも何もできない自分の弱さに私は泣いた。



そんな私を雅さんは最後まで気を使ってくれたのである。そして何より心に響いたのが



「あなたのせいではない、これは私が招いた運命だから・・あなたは何も悪くない。それなのにこんなにつらい思いをさせて・・私こそ、ごねんね。」



私は初めていつも笑顔にしてくれている雅さんが泣いて私に謝ったのである。でも私は雅さんと出会って辛かったことはなかった。私に生きる意味や素晴らしさを教えてくれて感謝しかない。




そしてついにその時が迎えたのである。時の魔女が見たこともない魔法で無数の刃が出てきて一斉に雅さんの方へ攻撃を始めた。私は余りにも悲惨な光景に目をつぶってみないようにしたのである。



目を開けてみると無数の刃が雅さんに刺さり悲惨な光景になっていた。時の魔女はとどめかのように魔法でさらに攻撃をして雅さんは灰になった。



時の魔女は用が済んだのか私を解放してこう言ってきたのである。



「これで私の目標は達成されたからあなたを解放してあげるわ。できることならあなたを迎えたいところだけれども・・・その様子じゃ、無理ですね。ならあなたの好きなように生きなさい。私も関わらないようにしてあげるから・・・でも、もし復讐など考えているならやめなさいよ、せっかく雅が命を張って守った命を無駄にしたくないならね。」



そう言って私の前から消え去った、残ったのは灰になった雅さんとその灰に泣きつく私だけであった。私はどれぐらい泣いていたのかはわからないがただ言えることは




私はあの時の魔女、絶対に復讐してやると誓った。灰になった雅さんを私の名前をなずけることになった桜の木の下に埋めて旅を始めた。



それからいろんなところを渡り歩きそしてここまで来た、かつての故郷にそして時の魔女がいる世界に




今回の成果


雅が桜を庇い死亡

桜、復讐を決意

この世界に時の魔女がいることが判明




















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