第16話、戦いはさらに続く
柿崎は急な助太刀に少しばかりプライドが許せないと思っているがまず、優先なことは鬼たちの安全である。そのためには共に戦ってくれるものが居れば心強いと考えていた。
一方、ハルカはここで柿崎族長を助けたならハイエルフに貸しが出来て今後に有利に進めやすいと思い参戦した。それに二対一なら勝算はかなりあると考えていたのであった。向こうも陰陽術を使ってくるが自分もかなりの手慣れだと自負している上に近接戦なら柿崎もいる状況なので負けるほうが可笑しいと思っていた。
正直に言ってハルカは桜を侮っていたのである。桜の実力を見ていないからそう判断してもおかしくはなかったうえに実は彼女はハイエルフの中でも三本指に入るほどの強者であり、次期族長にも選ばれるのではないかと言われているほど。
その上に仲間が鬼の最強と呼ばれている柿崎が味方だから彼女の油断も当たり前と言えば当たり前であった。
この両者の考え方が違っていたために柿崎は慎重に攻撃出来るすきを待っていたらなんとハルカが先に陰陽術で戦い始めたのである。
「来たれ、来たれ、祈るのは生命の源、臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前。」
唱え切ったハルカから巨大な水が波のように桜に襲い掛かったがこれを見た桜は
「我が祈り、変幻せよ、降臨するのは生命の輝き。」
桜の方からは巨大な炎が出てきて二人の間で巨大な水と炎がぶつかり合った。これを見ていたハルカは驚きを隠せないでいた。普通なら水が勝つがなんと互角であったのである。
互いの術がぶつかり合い濃い霧が発生したのであった。ほとんど視界は見えない状態になりハルカは次の攻撃に備えるのである。視界が晴れたらすぐに唱えられる準備をしていたら後ろから
「そんなんで私の挑もうとしたのですか、私も舐められたものです。戦いをあんまり心得ていないと見ました、ハイエルフさん。」
濃い霧に乗じて視界から桜が奇襲をかけてきたのである。それは急なことであったので対応に遅れて背後から斬られたのであった。だが、なんとか避けきって得意の陰陽術で回復したがそれでもハルカは今までにない強敵だと感じざる負えなくなった。
霧が晴れて柿崎とハルカは小声で会話をしたのであった。
「このままでは負けるだけでござるから、某が真正面から攻撃するのでハルカ殿には側面や背後から援護していただきたいでござる。」
「わかりました、柿崎さんも注意してくださいね。この女、相当できます。正直に言ってハイエルフだけでは負けてしまうのではないかと思うぐらいに。」
「それはこちらも同じでござる。鬼だけでは確実に負けるから同じでござるが・・二つの種族が力を合わせれば勝てる可能性はあるでござるからな。」
そう言い終えると柿崎は斬りこみを始めたのである。もちろんのこと桜は迎え撃ったがまだ余裕な感じであったがここでハルカが側面から陰陽術で援護攻撃を始めたのであった。
だが、それでも桜は防ぎながらハルカに対しても反撃などをするなど二人相手でも普通に戦っていたのである。このままではやばいと感じた二人はバラバラではなく一斉攻撃にすることに作戦を変更した。
それに気がついたのか桜は先に事を終わらせようとして唱え始めたのである。
「天地人、我が祈り、望むのは生命の理、臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前。」
二人は今の前に広がっている光景を目を疑った。それは陰陽術でできる火、水、木、金の四つを同時に発動させてきたのである。このようなことは陰陽術の天才と呼ばれているハルカにもできないことであった。それも二つ同時も出来ないのに向こうは四属性同時に出してきて改めて桜の実力を目のあたりにしたのである。
その攻撃はどうあがいても防ぎようもなく二人を攻撃を受けてその場で倒れたのであった。その光景を見た桜は
「勝負ありましたね、安心してください。殺さない程度に加減は致しましたので・・約束通りに私に協力してくださいね。出来ることならそこのハイエルフさんにはほかのハイエルフの協力してくれるように言っていただけたら嬉しいですかね。」
二人はもう抵抗しても無駄なことだと感じた二人は言う通りに抵抗せずに桜の話を聞くのであった。だが、柿崎はどうしても聞いておかないといけないことがあったのである。
「お主はどうしてあのような状況から生き残れたのでござるか、そして目的を離してほしいでござる。鬼の種族そのものを動かすのでござるから理由を聞かせてほしいござる。」
この言葉を聞いて少しばかり間を置いてから桜が話を始めたのであった。
「確かに・・人に頼む時には話をするのが当たり前ですよね。話しましょう、私がどうして生き残ったかと言うととある吸血鬼に拾われて命を救っていただきこんな力をつけさせてくれました。そして戦力がほしいのは・・・その恩人である吸血鬼、明智雅様の弔い合戦をするために。」
二人はあんまり聞きなれない単語を聞いて桜に質問するのであった。それは吸血鬼の存在である。この世界に吸血鬼は存在しておらずいるはずもないがここで桜が
「そうですね、確かにこの世界には吸血鬼は存在しておりませんが異世界から来た吸血鬼と言えば納得していただけますでしょうか。なら話しましょう、私があなたたち、鬼に捨てられた後からのことを。」
桜はそう言って語りだしたのであった。己の過去をそしてそこで初めて心を許したものとの出会い、共に暮らした楽しい日々にそしてその幸せを奪いさらに心を許した者を殺したとある魔女の話を
誰も考えられないほどの人生を歩んで生きた桜の人生が桜自身で語るのであった。
最上紅龍
今回の成果
特に無し
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます