第12話、魔龍との激突

最上はこの鬼人の名前がどこかで聞いたことがあると思って考えていたらかなりの傷がついたにもかかわらずドラゴンはまだ戦う気でいたのであった。しかも先ほどの姿とは少しばかり変化していた。



もしかしたら相手は今から戦闘モードに入るじゃないかと心配したが結果はすぐに分かった。



上空に飛び回りながら火焔玉と言うべきであろう物をどんどんこちらに放ちながら飛びこちらを焼き殺そうとしていた。



こちらは最上とハルカで陰陽術で水をだしてなんとか防いでいたがそれでも状況はこちらの方が不利であった。それは上空まで届く攻撃はなく向こうの一方的な攻撃だけであり時間が経つにつれて体力が尽きてしまうと最上はそう考えていたら




ここで柿崎景家がとんでもないことを言い出すのであった。それは二人も予想外のことである。



「なら、巨木を登って上から跳べばアイツに届くでござる。そこから攻撃して地面に落としてやるでござるよ。それまではあの龍を引き受けてほしいでござるよ。」



最上は一見無謀に見えることだが今はそれしかないと思い柿崎景家に頼むのであった。ハルカもそれに同意して二人で囮を引き受けるのであった。



そうして二人はあのドラゴンに気を引くために囮をするのであった。もちろん、いくら陰陽術が仕えても危険なことであったがそれ以上に危険なことをする柿崎のことを考えるとまだましだなと思いながら攻撃を耐えていた。



そして攻撃をしすぎて疲れたのか、ドラゴンが少しばかり高度下がった瞬間、この時を柿崎は見逃さなかった。全力で跳び、ドラゴンの背中に乗って小刀で攻撃を始めたのであった。



ドラゴンは乗ってきた柿崎を振り落とそうとするが先ほどの攻撃で疲れ果てて思うように振り落とせずに柿崎の攻撃を受け続けて痛いのか悲鳴の代わりに何回も咆哮を出していたが柿崎にとってむしろ攻撃がかなり効いていると確信してますます猛攻撃をするのであった。




とうとう痛みに耐きれなくなったドラゴンはそのまま、地上に落ちてきたのであった。柿崎はそれを確認すると自分は木の枝に飛び移り落下からうまく逃げたのであった。



最上とハルカもとうとう倒せたと喜んでいたが地面にぶつかる瞬間にドラゴンは落ちていた己の体をうまく体勢を立て直して三人に悔しいのか、かつていないほどの咆哮を出してそのまま上空に上がり消えていくのであった。



最上は今度こそ、生き延びたぞと安心してその場で座り込んだのであった。まさしく命の駆け引きで元の世界というより日本では少なからず経験することもないもので落ち着いてから柿崎の場所に向かうのである。



「柿崎景家さん、助けていただきありがとうございます。お礼は何もできませんがどうか許してください。」



「別にお礼を欲しくて助けたわけではないでござるよ。ただ、助けたかったから助けたまででござるよ。それよりもお主はまさか、日の本の人間なのか。」



「はい、俺は最上紅龍と申します。気軽に紅龍でも呼んでください。確かに日の本の人間ですが俺は柿崎さんが生きた時代の約400年後の人間です。正直に言ってだいぶ変わっていますよ。」



「そうか、日の本の人が来てくれるとは嬉しいでござるよ。ここも中々いいがやはり時々恋しくなることがあるからのう。未来はどんな感じでござるか。」



最上は少しばかり寂しそうにしながらこう返したのであった。平和なところかもしれないけど自由は思っている以上になく、ただ平和に生きるだけの生活で夢も野心もない場所と言ったら柿崎は少し間を置いてからそうでござるかと言うだけであった。



何とも言えない空気になったところでハルカが柿崎に対してこう話をするのであった。



「柿崎さん、お願いがあってここまで来ました。もうわかっているかもしれませんがここ数年、今までにない異変が起きてきています。これは悪い前兆だと我々の族長は考えました。そこでいつでも連携を取るためにエルフと一時的に一緒に暮らし、後々の禍を一緒に乗り切りませんか。」



それは同盟に近い話であった。ハルカが言うにはここ数年間、異常なことが度々起こるらしく被害と言うべきことはまだないがそれでも族長は災いの前兆だと考え、鬼たちにも協力を求めてきたのである。



最上はそんな簡単にうまくいくのかなと考えていたが柿崎はまるで渡り船が来たと言わんばかりに喜びながら答えを返すのであった。



「ようやく、我々と一緒に戦う気になってくれたでござるか。なら、急いで集落の者たちに伝えて早いうちに移住をいたすでござるよ。」



この答えを聞いてむしろ、嫌がっていたのはエルフの方なのかなと感じながら聞いていたら柿崎が最上に近寄ってきてハルカに聞こえないように小声で



「そう言えば、兄ちゃんはあの美少女のエルフともう仲が出来ているのでござるか。こちらを話している最中も時々、お前の方を見るしお前もアイツばかり見ているからこれはと思い聞いてみたでござるよ。」



最上は顔を真っ赤にしながら軽くうなずきながら頭の中ではまさか、それだけでここまで予測できているとは流石、柿崎景家と言うべきところだな。



この男は一見、武勇のみしかないと見えるが実は外交がかなり優秀だったりする。そのせいかやはりと言うべきところで人の観察や考え方なども分かってしまうのであろうか。



最上は味方なら心強いがもし敵ならこれほど怖い者はいない、だから信長に目をつけられて謀略で殺されたのかと思うばかりであった。



柿崎はとりあえず二人を集落まで案内をすることにしたのであった。それは柿崎が考えていたことが上手くいったお祝みたいなものを集落で行いたいと言うもので二人は断るわけにはいかずついて行くことにしたのであった。



この祭りみたいなもので最上が命がけのことになるとはこの時の最上に知る由もなかった。




最上紅龍


今回の成果


魔龍を三人で撃退

戦国時代の武将、柿崎景家の力が目の当たりする

外交が成功(使者の依頼達成)

祭りが行われる









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