第2話 それぞれの恋心

キーンコーンカーンコーン…

「ヤー!!!メーン!!!!」

大学の武道館で剣道のサークルが活動している。

「あーーーーーー!クソーー!!やっぱ優には勝てねぇよー!」

忍は汗だくで窓から空を見上げながら言った。

踏み込みが甘いんだよ。と勝ち誇りながら優は忍にタオルを差し出した。

「ていうか明後日とうとうクリスマスだな。俺にも応援してくれる彼女がいればなー…。

そう思わねぇ?」

忍は、優と近くにいた周一に問いかけた。

「俺は剣道一筋かな。今のところそういうのはいいかな。」

優は竹刀を振りながらそう言った。

「お前はそうだろうなー。周一は?」と忍。

「おれはもちろん-…

「コラーー!!!なにだべってるの?!早く練習しなさい!試合は近いのよ!」

「うわ!!??」

「なに話遮ってるんだよ、華那!」

周一は華那に詰め寄った。

「あんた達がくだらない話してるからでしょ!

特に忍と周一は練習しなきゃいけないじゃない!」

「はあ…。わかったよ。優!もう一回勝負してくれ。」

忍はため息をついた後、子供のようにお願いしてきた。受けて立とう!優がそう言う前に華那が、

「次は私が相手してもらうんだからダメ!」

と優の腕を引っ張りながら言った。

「じゃあ、周一でいいやー…。やろうぜ!」

「でいいやってなんだ!ボコボコにしてやる!」

そんな忍と周一のやり取りを見ていた隆と美穂は、

「くすくす、なにやってるのかな、あの二人。」

と美穂。

「だな…!というか、華那のやつ絶対優のこと好きだよな。まあ肝心の優は気づいていないだろうけど…、ほんと鈍いなー。」

と隆。

美穂は、「鈍いのは隆くんも一緒だよ……。」

と小声で呟いていた。


隆と美穂と舞は幼馴染だ。

美穂は中学の時から隆に思いを寄せていた。

だが高校の時、隆はそんな美穂の気持ちに気づかず舞の告白を受け入れ付き合ってしまっていた。

この一連の出来事があったせいでサークルの中でも美穂だけが舞のことをよく思っていなかった。


ドタドタ………!

「メーン!!!!」

「キャッ!」

小さな悲鳴をあげて尻餅をつく華那。

優は慌てて、「大丈夫か華那!すまん…。ちょっと力が強かったよな!怪我してないか?」

と手を差し伸べた。

「そんなに心配してくれなくても大丈夫だよ。

ちょっと尻餅ついただけだから!

…………やっぱり優しいね。優は。」

華那は頬を赤らめて言った。

「そんなことないよ。立てる?」

「うん!」

華那は優の手を取りながら心の中で囁いていた。


『優は気づいてないだろうけど、子供の頃から

ずっと好きなんだよ。

優の笑顔が好き…。

優の声が好き…。

優の目が好き…。

優の喋り方、仕草 …全部

優しい優の全部が好き!

早く気づいて…バカ…………。』

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