響!

赤キトーカ

最終話 「響-HIBIKI」

映画には全く期待していなかった。

だから公開してても、「あー、やってんの」と、一か月放置していた。

欅坂なんか、ずっと「れもんざか」と思ってた。

「とりあえず」見に行って、本当に感激した。

「この映画は2回だけ見る」と決めた。

一度は見ないとわからないから、見る。二度目で、全てを心に刻みつける覚悟で見た。

二度目は、始まる前の予告の時点で、涙が止まらなくなった。

「涙が止まらない」ということが、生きていて、どれだけあるだろうか?

ハンケチを口に詰め込んで、噛みながら、嗚咽を堪えながら見た。

30年生きてきた。

最初の10年は…星新一と出逢った。

20年生きて、星の王子さま、サン=テグジュペリと出逢った。

25年生きて、森博嗣と出逢った。アルチュールランボォと出逢った。

30年生きて、「響〜小説家になる方法」と出逢い、

32年。映画「響-HIBIKI」とついに出逢った。

映画を見てひと月後。

上司の部長にメッセージを送った。昨日のことだ。

「進退を決めたのでお時間を下さい」


(世間とか、他の誰かがどうとかじゃなく、私の意見を。)


響は、「自分の価値観を確認するため」小説を応募した。

私が「響-HIBIKI」を見たのも同じことだと思う。

角を曲がる、もそう。

価値観を再確認した。

だからどうとか、じゃない。

その価値観が正しいとか、評価されて嬉しいとかじゃない。

ただ確認しただけ。


敢えて言葉にするなら…

響という人間が「生きている」のを見て、「一人の人が生きること、生きていること」を知った。それは響というキャラクタであり、スクールの講師であり、上司でもある。

それを見て、私は私であると、再認識した。


ちなみに実際は、映画は3回見た。凡人だから。


これは余計だけど、私が響だったらこう言うと思う。

「5回見たとか、10回見たとか、それは物覚えが悪いからか、それだけ見なければ覚えられないほど印象の薄い映画だったということでしょ。」


手塚が子鹿の?バンビ80回見たとか、ね。

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