第7話 携帯
「クイズと魔法のリアライズ?」
「そうそう、スマートフォンでみんな遊んでいるゲームなんだよ。ゲームだけれど、タイトルにもあるみたいにクイズを解いて進めていくスタイルになるから、勉強にもなるって言っていたかな。ほら、こんな感じに」
そう言って金谷くんは画面を見せてきた。その画面にはアニメ調のキャラクターが描かれていて、四つの選択肢と設問が示されていた。
「これってまさに……」
「クイズの解答画面、そのものだろ?」
「そうだね。まあ、ガラケーの私には関係のないことだけれど……」
私は自分の持っている携帯――ガラケーを手に取った。
最近はガラケーが押され気味で、いろいろとスマートフォンが流行っている。だからかもしれないけれど、スマートフォンはクラスで持つこと――一種のステイタスとなっていて、みんなそれを見せ合いっこしている。スマートフォンにはいろいろなケースがあって、それを見せていることもあるのだけれど。
けれど、私はいまだにガラケーを使っている。変える意味がないと思っているからだ。確かに、コミュニケーションをとる際若干不便に感じる時もあるかもしれないが、まあ、その程度だ。いまだにメールで何とかなるし、ソーシャルネットワーキングサービス、SNSでどうこうする必要もない。
「スマートフォンも便利と言えば便利だよ。ただ、アプリケーションの幅が広すぎて、使いこなせないときがたまにあるけれどね……」
そう言って金谷くんは画面を指で触り、右へ、左へ、動かしていく。
ちなみに。
今、私たちは私の家に居る。どうしてここに居るのかと言えば、小テストの勉強会を開いているためだ。普段は一人で図書室に行っていたのだけれど、金谷くんとばったり出会ったので、家で勉強会を開くこととなった。ちなみに私の向かいには雄太が居て、彼も勉強をしている。彼も四月から小学生になるので、それに向けた勉強になるらしい。小学生になる前から、立派なことだと思うけれど、正直そんなに勉強する必要はあるのだろうか――なんて思ってしまう。
「小テスト、行けそう?」
「うん。まー、行けるんじゃないかな。あ、そこのエックスは代入するよりもまずまとめたほうがいいよ。そのほうが今後の計算がらくになるし」
「あ、そうなの? ありがと、いや、知らなかったよ。金谷くん、頭いいんだね」
「まあね」
私はあまりランキングに興味を持っていなかったのだけれど、金谷くんはランキングの上位に居る人間だったらしい。いつも平々凡々な地位にいる私にとっては高嶺の花だったのかもしれない。
さてと、そろそろ私も勉強をしないとね。
そう思って私はガラケーを机の上に置いて、ノートに目線を集中させた。
ノートにあるのはいろいろな文字。数学であることは間違いないけれど、この量は一人ではあまり出来ない物量だったかもしれない。それを考えると、金谷くんと勉強することは成功だったのかも。
「さてと、それじゃ僕も勉強を始めるかな」
そう言って社会の教科書をぱらぱらとめくりはじめる。今回の試験範囲は日本史だったかな。江戸時代までだったと記憶しているけれど、どうも歴史は苦手。人物があまりにも多すぎる。そんなに覚える必要なんてないじゃない、って思うけれど、私たちは学生だから、学校のテストで点数を取るためには覚えなくてはならない。
きっとその知識のほとんどは社会では必要ない知識なのだろうけれど、それでも出来ることならそれを勉強するやる気が一気に失せてしまうので、気にしないほうがいいだろう。
そして私たちは勉強をするために、お互いにそれぞれノートと教科書をにらめっこし始めた。
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