第3話
「記号少女ネットワークにようこそ。こちらでは電子アクセス認証による体験型量子ドライブシミュレーションをお楽しみ頂けます。宇宙的狂気の汚染補食融合をピュアな気持ちで虚構化しちゃいましょう!」
アナウンスから女性の音声が流れる。アニメでのオペレーションをしているみたいだ。私も早くこんな風になりたい。
「ここからはデッキ構築が必要ね。論理の弾丸を磁石の心臓に撃ち込まないとバグっちゃう」
「召喚とか疲れるからやりたくないけど神話的掠殺は魅力的だからね」
死体で満員のようなジェットコースターに搭乗し視覚のモニターを同調させる。これが案外難しくて苦戦したけどAさんが崩壊のビートのリズムで電波変換を繰り返せばいいのだと教えてくれた。こういうときには信頼できる。
「さあ無重力の孤独の世界に絶滅したウイルスのハーモニカを贈りましょう」
「水泳のプログラミングの要領でネクロノミコンの暗号を縫い合わせてね」
暗い未来の輝きに急降下して世界史を簒奪し原始人の骨を埋める。
すると隕石の流星が遺伝子に組み込まれ私たちの虚無を鷲掴みする。
太陽系に巣くう王者の冠を被るペンギンの行進で大陸が移動していく。
それは囁きに潜む進化の彼岸花が開花する潮流の宴に招待されることなのだ。
「幻奏の韻律機械を召喚!」
「色相のマトリョーシカを召喚!」
「「さあ生命の束縛を破り神々の衣装も恥じらう悠久の創世をここに!」」
脈打つ鼓動が宵闇の輝きを減算し無数の青が被膜の屈折と共に犯される。
暁のタイムラインが化粧を施すその刹那に共鳴された深層の光景が重なりあう。
銀河に記載されたはずの宝石が砕け散り花火の爆発のように模様を写し出す。
今この一瞬を以て啓示された予言は終わり黙示録の運命は蜻蛉の滴となった。
「静かに」
「はいはい」
「破滅の願いは思い出の中に」
「でももう大丈夫ね」
「ええ、だってきっとそうだもの」
「弾切れよ」
思わずリボンがおかしくないか確認してしまった。
二人は笑い、お出かけを続行することにした。
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