設定メモ2:第二部の主な登場人物


 こちらは備忘録的なものです。一部未公開の設定もありますが、やがて本文にて開示されたり本筋には絡まない情報もあるので、読み飛ばしても大丈夫です。

(※作者註 このページは第二部終了後に部の最後へ移動します)


——・——・——


◆ウルファンド断崖船渠グランドック


親方:タイジ=ハウスマン

 ぼさぼさの頭にゴーグルを嵌めたネズミの獣人。断崖船渠の工房の親方。典型的な職人気質で口も悪いが根は人情家で、根なし草の虎の艦長を昔から気遣ってくれる良き理解者のひとりである。魔導器生成や修理の腕は確かだが、技術屋なので呪文は使えない。


ボッシェ=ゴーグ

 工房に勤める黒熊の獣人。頑強な見た目に対して物腰は柔らかく口数も少ないが、軍隊の闘術も身につけており戦闘能力は高い。ダニーと同じく修理屋でありながら無限機動の運転技能も持ち合わせている。


ブリジット=オルス

 長い後ろ髪がたてがみと混ざる大猫の獣人。愛称「ブロ」。工房ではボッシュの相棒。無限機動の運転技術は一通り。グラマラスな体格で、女性の獣人としては身長が高い。艦長イースにはベタ惚れで、思いの丈は一切隠していない開放的な性格。


顔役:ダンカ

 ウルファンドの長であり長毛種の猫の老人。この街には旧くから住んでいる古参の人物で住人からの人望も厚い。イルカトミア顔役の老婆とも密かに交流があるらしい。


顔役:ボス

 水牛の獣人で、頭部に大きなツノを生やしている。街のまとめ役でもありながら、船渠工房の主事監督でもあり、そして緊急時は自警団の長でもある。狂獣軍襲撃の際に魔導師メイネマ姉弟の攻撃を受け戦死した。


神主:グレイ

 灰色狼の獣人。ウルファンド北神社の神主職。飄々とした性格でいつも胸にぶら下げているメガネは伊達眼鏡との噂あり。実際の役務はウルファンドの守護魔導師で近接戦闘特化の法術家。無詠唱でさまざまな気術と法術を使いこなし、特に気術は共鳴系という非常にレアな術を用いる。体術にも秀でている。


宿屋:メイル

 蛇がウルファンドに滞在する際には贔屓にしている旅館で、いつも和服に割烹着を着ている狐のおかみさん。年齢不詳だが小柄な体も相まってずいぶんと若く見える。街の顔役の中では中堅どころ。アキラのことがお気に入り。


看護婦:チャコ

 街の診療所で働くタヌキの獣人。尻尾が太く童顔で人懐っこい。エイモス医師を患者の頃からお世話して、今は現役に復帰した彼に一途な恋心を寄せているが、歳の離れたエイモスにその気がないのも承知している。



——元ウォーダーの子供たち


キーン=ガントレット

 典型的な黒白のマスク顔をした黒猫の獣人。男の子。以前はウォーダー砲術班で勤務した経験を持つ。リッキーとは仲がいいのか悪いのかわからないが側から見ると兄弟のように見えなくもない。リザ大好きなのは周知の事実で本人には告白済み。


アラン=フォートランド

 多毛種の猫の獣人。全身がふわっふわの毛に包まれた小柄な男の子だが、非常に敏捷で頭もいい。ちょっと天然。ウォーダーでは動力班所属であった。狂獣軍襲撃の際に敵の砲撃を被弾、一度死亡して元クレセントのソフィアの治癒魔法により復活している。


マーカス=タウンゼント

 レトリバー犬の獣人。男の子。街に住む四人の元ウォーダー班では一番体格もいいが、日頃は大人しくて気も弱い。ただ犬系の特性として献身的で正義感が高い。世話焼きで他の男子二人にはいつも振り回されている。元動力班。

 

ルーシー=モレル

 猫型の獣人。女の子。栗色の長髪に大きな耳と、尻尾があるだけで姿はほぼ人間と変わらない。街の四人、蛇の七人合わせても子供たちの中では一番おませさんで、夜はもう一人でも眠れるらしい。ちなみにサンディはまだ一人では眠れない。元副砲班。



◆港町フィルモートン◆


霊術師:キィエ

 フィルモートンに隠遁していた霊術師で長毛種の獣人。正確な種族は不明。傭兵部隊『疾風の園ゲイルガーデン』に所属していた際の二つ名は〝占屋うらないや〟。霊術の中でも幻術系の広範囲魔法を得意とし、フィルモートンでは獣の住人たち五千人を街のひと区画に隠していた。ザーラ=メイネマの氷結魔法の後遺症で肺に障害を残し、術者としても引退を決意する。


——アンダーモートン


棟梁:バーヴィン=ギブスン

 地下組織アンダーモートンの頭目。少年時代に幼馴染のゲイリー=クローブウェルをマリーから引き離すためサラをけし掛けた。その過去に少なからず罪悪感を持つため、娘エリナを〝蟲憑き〟の罠から救えなかった。最終的に弩級幻蟲ゴーンジャイアントに繋がれた爆弾幻蟲に変容し南インダストリアの南海洋で爆死。最後まで街に引き摺られるのを拒んだ。

 無限機動ウォーダーとは魔石の取引と引換えにウルテリア=アルター北部空域の航行権と港町フィルモートンでの獣住人の身の安全を保証していた。少年時の愛称は「バーブ」。


マリー=ギブスン

 バーヴィン=ギブスンの妻。ゲイリーやサラとも幼馴染。赤毛の美しい女性。娘エリナを出産してから体を壊し、やがて病死している。


エリナ=ギブスン

 バーヴィン=ギブスンの一人娘。組織アンダーモートンの構成員からは可愛がられていたが、父の旧友ゲイリーに騙され〝蟲憑き〟にされてしまう。それからは首都北部のブレナデス長期療養院で過ごしている。彼女の面影は帝都にて秘密裏に利用され、帝都を退去した多数の魔導師に偽の〝娘〟の記憶として埋め込まれている。


モルテン

 地下組織アンダーモートンの頭目代理。だが実際は頭目の娘エリナに蟲憑きの罠を手引きした張本人。組織の支配を目論んでいたがゲイリーに嵌められ魔導炉の地下に幽閉されていたバーブを幻蟲に変容させる儀式の場で、異界の触手に全身を貫かれて死亡した。


デントー

 地下組織アンダーモートンの構成員。細身の背広で見た目ヤクザ。エリナにとっては赤ん坊の頃から育ててくれた子守りのおじさん。自ら蟲を憑けて療養院でエリナの警備に当たっていたが、アキラの提案に乗り彼女の蟲を外すことに協力、幻界で自分を操る蟲に最後まで抵抗して自死した。



◆ウルテリア・アルター国 首都リオネポリス◆


ラウゼリラ=トール副議長

 首都アルター評議会副議長の老貴婦人。愛称「ラウザ」。比較的見た目が年齢不詳なのは実は本人が獣化した狐の獣人のため。首都では完全隠身で人間の姿のまま過ごし、自分の力では獣の姿に戻ることはできない。そのため寿命を縮めている。

 獣狩りをはじめとした獣人に対する犯罪者・弾圧者を徹底的に都市から駆除している女傑でもある。虎の艦長のことは気に入ったらしい。


レベッカ=ハーネルバーク

 首都評議会を守るルースヴェルデ親衛隊の小隊長。実態はほぼラウザ直轄の部隊長で、副議長護衛と勅令遂行を業務とする。ドーベルマン型の獣人で極めて近接戦闘能力が高く嗅覚や聴力による索敵も得意。ラウザの隠身解除の鍵は彼女に埋め込まれている。


ダリル=クレッソン

 ルースヴェルデ親衛隊隊員。背の低い犬型の獣人で外見は少年ほどに見える。親衛隊専用の防御服に埋め込まれた双剣と盾を用いて戦い、特に小柄な体を独楽のように旋回させて斬り込む回転斬りが得意。ロイの前歴を知って尊敬している。命を救ってくれたアキラに並々ならぬ恩義を感じている。


国軍:ヴェルナー=ファイルダー将軍

 ウルテリア=アルター国軍の現将軍。元は准将だったが前大戦後に一度国軍が解体された折に抜擢された。現場叩き上げの軍人なので政治家相手の権謀術数は苦手で、むしろ前線での指揮を得意とする。辺境大隊長であったロイには頭が上がらない。


国軍:デッケナー=ウォルフヴァイン元辺境総督

 旧アルター国時代のイルケア・クリスタニア辺境を任されていた老総督。今は引退して国軍本部に身を置いて日がな一日花壇の世話などをしている。虎の面々とは旧知の間柄。


ディンガー=フォートワーズ議員

 評議会にてディボ一派とは対立している老議員。首都リオネポリスがウルファンドの査問を決定した際に、聖域シュテにいち早く魔導師派遣を依頼した人物。


ディボ=バルフォント議員

 首都評議会におけるバルフォントファミリー創始者で冷徹豪腕の政治家。インダストリア工業地帯で流通する魔力と魔石を占有して私腹を肥やし、帝国との休戦において魔法医師の管理者権限を独占するにあたってその地位を決定的なものにする。

 魔術に手を出し冷酷さが暴走し、抗魔導線砲を国軍に導入しようとしたが蛇に阻止される。


ダニエル=バルフォント議員

 ディボ=バルフォントの娘婿。評議員に名を連ねるがディボとは比べるべくもない小物。その地位に甘んじて女遊びに高じていたが、魔術に手を出し色欲が暴走し、幻蟲を使って若い女性の飼育や獣の殺害を趣味とする変質者に身を落とす。中央行政塔の地下駐車場で蟲に潰されて死亡した。


ミランダ=バルフォント

 ディボの娘、ダニエルの妻。表面上は仲の良い夫婦を演じてはいるが、夫のことはあまり気にかけていない。


ドーリー=バルフォント

 ディボの孫娘。おじいちゃん子。


ゲイリー=クローブウェル

 略称「クロウ」。ディボ=バルフォントの片腕で首都リオネポリス騒乱の張本人。バーブ、マリー、サラとは幼馴染。少年時代から苦労人で生きづらい性格だったが、その才能をディボに認められ秘書官まで上り詰めた。

 政治の裏ごと荒ごとを請け負う過程で魔術に手を染め、元来の厭世感が暴走し始める。妻と娘の離別によって決定的に世界を憎悪するに至り、首都リオネポリスを蟲の大群と20億ジュールの爆弾幻蟲で壊滅させようとするが、ウォーダーに敗北し拳銃自殺した。


サラ=クローブウェル

 クロウの妻。マリーの親友。十代の頃にバーブよりクロウを誘惑するよう恫喝されるが、自身が本気で恋心を持ちそのまま結婚。子供が産まれてからは献身的な妻としてクロウを支える。

 心の隅ではかつての罪悪感が消えないまま燻っており、自分の存在が夫の重荷になっているとの思いで故意に不貞を行い離別したが、その浮気の相手は実はディボ=バルフォントが仕込んだ男である。


アリア=クローブウェル

 クロウの娘。バーヴィン=ギブスンの娘〝赤毛のエリナ〟とは幼馴染だったが、両家が疎遠になるにつれて交流も薄れていった。働き詰めの父親とは小さい頃からあまり会話することがなく、よく母親サラが家で泣いているのを見て育ったため、父親クロウのことは今ひとつ良く思っていない。

 

——ピエール=インダストリア


棟梁:ファットジャン=パダー

 西インダストリア元市長で非合法集団ピエール=インダストリアの現頭領。ベレー帽に背広にマントという出立ち。変態。市長時代から欲望の赴くままに獣を狩って愉しんでいた。背広は名品ムストーニアクラブハウスの防御服で、両手の指輪に総計数百万ジュールもの魔石を装備している。

 少女時代のリリィを捕獲しようとして片腕の指を数本吹き飛ばされた恨みを忘れず、首都リオネポリスでは限界まで追い詰めるもノーマとリリィの連携により腹部を撃ち抜かれて死亡した。


バグル=ジャックマン

 ピエール=インダストリアの副頭目でパダーの補佐。インダストリア工業地帯で魔力に被曝し獣化した人間を密かに実験台としてダニエル=バルフォントに横流ししていた。クロウの起こした騒乱に巻き込まれ自らに蟲の種子を撃ち込み急場を凌ぐも、その後行方不明。


——西インダストリア地区 アルトムンド孤児院


院長:アルトムンド

 白髪の少年。アルトムンド孤児院の院長で百年以上は生きているクレセント。大陸の各地を点々として現在は西インダストリアの裏の顔役で収まっている。旅の過程で集めた様々な魔導器を収集し、本人も造詣が深い。ノエルの呪文十四番『水領リクラ』の所持者。旅先でガリックを保護し、庭番として雇っていた。


ヤン=ローレンツ

 アルトムンド孤児院の院長補佐の青年。アルトムンドが所有する前から孤児院に長年籍を置いていたが獣化した子供を売りに出す前の院長とは対立していた。今はアルトムンドを尊敬している。


ハンナ=ベルマン

 アルトムンド孤児院の院長補佐の少女。ヤンと同じくこの孤児院で育った。子供達の世話役。


庭番:ガリック

 正体不明の銀髪の男性。右腕は肩から失われて丸々義手になっている。アルトムンドにスラムで放浪しているところを拾われてから、孤児院の庭番として働いていた。発話や言語に障害があったが、首都騒乱の際に抗魔導線砲の余波を全身に浴びてから後、不完全ながら障害が寛解されている。

 以前の記憶はほとんど残っていない。本人曰く森で死にかけていた自分を、魂の中の〝なにものかたち〟が救い育ててくれたとのこと。ただ身体が覚えているのか、剣技剣術・刀術・闘術など様々な戦闘特技を習得している。


——傭兵『疾風の園ゲイルガーデン


飴屋:ガラ

 ウルファンドの祭りに潜入した傭兵。シュテの魔導師シャクヤに雇われている。およそ魔導師には見えない肉弾系の見た目だが戦闘では結構なからめ手を使う。元素属性は大地星タイタニアで砂礫の弾丸や流体の粘性を上げた攻撃が得意。


青果屋:ジージー

 首都工業地帯を根城とする傭兵。小柄な老人で極めて敏捷性が高い。魔光剣は相当な使い手だが魔導そのものの実力は不明。



◆放浪の魔導師◆


マーロック

 前大戦時に黒騎士グートマンによって帝都を追われた魔導師。霊化している。漆黒のローブに隠れた顔は見えない。放逐された魔導師達の首領で、目的は前皇帝ヴァラグエルの肉体を復活させること。実力は不明。ファガン長兄ガラムジャン、狂獣セルトラとは裏で繋がっている。


ミリアン

 放逐魔導師の一。少女の外見だが年齢不詳。爆弾低気圧発生装置ヴァルモアを用いて港町フィルモートンを壊滅させた。獣達の輸送船団を追ってウルファンドにも攻め込むがウォーダーに撃退され、その際に長年慣れ親しんだ肉体を死亡させ現世に未練のあるままで霊化してしまったため、蛇を強烈に憎んでいる。

 

アントニム

 放逐魔導師の一。横顔の魔導師。見た目がまるで空間に現れた影絵のようで、どの方向から見ても横顔しか見えない。非常に独特な喋り方をする。霊化した身体を十分に活かしており、時にその姿はウォーダーを越えるほど巨大になることもある。マーロックに指示を受け各地で人間のクリフォトを集めている。


前ガニオン皇帝:ヴァラグエル=ガニオン

 前の大戦の終期に黒騎士グートマンと魔導師エグラムのクーデターを受けて帝国外へ放逐された皇帝。その際にノエル十五番『契命イグノラム』を浴びて、歴代皇帝が受け継いできた数百もの人格と魔導が暴走、高原の荒野で上半身が破裂し魂が無数に飛び出した『いさかいの木』に変容した。

 放逐魔導師たちが集める人間のクリフォトが徐々に効果を現し、殺し合い喰い合う魂たちがひとかたまりに纏まりつつある中、ついに最も効果的と思われるゲイリー=クローブウェルの殻が、木に投入された。——


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