第24話
それから、隣国との戦争の噂はほぼ事実という事で動き始めていた。
主要になる宮廷魔導師達や騎士団達は幾分殺気立っているようだと、教育係のニコルが愚痴をこぼしていた。
「まぁ確かに。ティトも朝から晩まで忙しそうだもんね」
そう答えたのは同部屋のクララだ。
ニコルと同じ同部屋の女性で、給仕部門の食事科。つまり料理人だ。
クリーム色の長い髪を三つ編みに編み込んで後ろで束ねている。
雰囲気は儚げで笑うと妖艶さが浮かび上がる。
笑顔がとても魅力的だなとサラディアナは思っていた。
話に出たティトというのは、防衛部門では珍しい騎士科の女性騎士だ。
就任日は遠征に出かけていて不在だったが数日後にようやく会うことができた。
真っ赤な髪は短髪で「これが邪魔にならなくていいんだ」と大きく笑う。
男勝りな動作をするが、宮廷から支給される騎士団のマントを脱ぐと、その体つきは不要なお肉が一切なく凹凸が目立った。
実に羨ましいお胸である。
そんなティトも戦に駆り出されるようで、訓練に勤しんでいるのだ。
「帰ってくると同時に寝室直行してますよね」
「直前3日は休んで体を休めるらしいけど、それ以外は仕事らしいわよ」
ネグリジェを着たクララがふうっとため息をついた。
「魔物討伐とかは良くあることだと言ってたけれど、戦争になると勝手が違うわよねぇ」
「そういえば、魔導具技師もいま忙しんじゃないの?」
「そうですねぇ」
もともと忙しい魔導研究科だが、戦云々の話が出てからやはり軍事班の動きが活発になっている。
時々サラディアナやセドリックも軍備の管理に回される事が増えたくらいだ。だが1つ問題がある。
────
「セドリック!貴方また軍事班の所に行かないんですか?」
「行かない。あいつらピリピリしすぎて近づいたら蕁麻疹ができる」
「そんなバカな話あるわけでないでしょう」
────
「.......」
最近、
サラディアナは苦笑いを2人に見せることで場を収めた。
「そういえばクララさん。これ修繕改良しておきましたよ」
「まぁ!早いわねぇありがとう」
クララはサラディアナから渡された物を確認すると嬉しそうに中を開く。
そこには料理人必需品の包丁が収められていた。
「魔法石の回線を少しいじりました。これで食べ物を切った時に食材に応じて新鮮さを回復し旨味を引き出せます。あと刃保ちも調整したので半年は刃研ぎ無しで使えると思います。」
「まぁ!」
「あとここに付属されている魔法石の潜在力が持ってあと1年くらいなので、石の交換か、包丁自体の買い替えをおすすめします」
「そんな事もわかるのねぇ」
包丁の柄を撫でながらクララはもう一度サラディアナにお礼を言った。
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