第454話 茶番

本業が忙しくて更新遅れました。申し訳ございません。



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ーーまた呼ばれている



ーーうん、呼んでるよ



ーーお前は誰?



ーーさて、誰でしょう?



ーーわからない。いや…知ってる



ーーうん、知ってるよ。私もあなたを知ってる。誰よりも深く知っている



ーー誰よりも?



ーーアンタのまわりに付きまとってるうざったい女どもよりも遥かに深く、深く、深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く深く知っている



ーー誰よりもあなたを想っている



ーー出会った日から1日たりとも想わなかった日は無い



ーーあなただけをずっと想ってきた



ーー慎太郎だけを想ってきた



ーータロウだけを想ってきた



ーー好き



ーー大好き



ーー愛してる



ーー愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる




ーー私がタロウを守ってあげる。ずっと。ずーっと



ーー永遠に



ーーあはっ






















『おい、起きろ。』




ノートゥングに起こされ目を覚ます。最高に寝覚めが悪い。誰かに話しかけられていた。それは覚えている。でも内容は覚えてない。知らない奴では無かった。知っている奴だった。誰だ…?あの声に聞き覚えはある。どこで聞いた…?割と最近だったような…

思い出せねぇ…でも妙な懐かしさがあった。そんな相手の声もわからないなんてあるか…?中学とか高校の時の奴…?でも最近会った奴なんていない。それにもっと若い感じの声だ。30ぐらいの奴では無い。そんな奴俺の知り合いにいないぞ…?指導先の生徒…?いや、若すぎる…過去の生徒か…?それならありえる。かなり昔の生徒なら懐かしく思っても変ではない。でももしそうだとしても何で俺の夢に?

いやいやいや。何を真剣に考えてるんだよ。夢の話だろ。どうでもいいことじゃねーか。こんな事を真面目に悩んでたら頭おかしい人だぞ。忘れよう。うん。



『おい、聞いているのか?』



俺がシカトしてたからかノートゥングがご立腹気味だ。また殴られちゃ敵わない。さっき殴られたコブがこっちでもあるし。ダンジョンイベってダメージ持ち越しするのかよ。四肢欠損とかしたら洒落にならんな。気をつけよう。



「あー、ごめん。なんか目覚めが悪くてさ。混乱してた。」


『目覚め?夢でも見ていたのか?この短時間で?』


「ああ。転送される時っていつもそうなんだよ。なぜか俺だけだけど。」



俺がそう言うとノートゥングは右手の人差し指を唇に乗せて何か考え込む。その表情は真剣だ。



『妙だな。そもそもダンジョンから戻ってお前を起こすまでのタイムラグは殆ど無い。その間に夢を見るなどありえないだろう。そこから導き出される答えといったら一つしかない。』


「……オレヒスか。」


『ああ。誰かがお前に干渉している。それも一切の魔力の痕跡も残さない程の奴がな。相当な手練れだ。』


「なんだって俺に…」


『これに関しては思っている以上に厄介かもしれんな。』


「どういうこと?」


『干渉出来るという事はお前を殺す事も出来る訳だ。それだけの手練れなら尚更な。それでもお前を殺さない。それどころか危害を加えていない。ならば少なからずお前に対して好意があるのかもしれん。』


「得体の知れない奴に好意持たれてもなぁ。気持ち悪いだけだぞ。」


『それが良い方に向いていればいいがな。お前が其奴に対して興味無しとわかれば殺しに来るかも知れん。』


「怖い事言うなよ。」


『ま、其奴が乱心したとしてもお前に刃が届く事は無い。お前に近寄れる時は妾を倒した時だけだ。』


「ん?それって…守ってくれるって事…か?」


『……お前がいないと…その…なんだ…つまらんからな…』


「アイス食べれなくなるとかじゃないんだ。」


『……ああ。』


「……そっか。」



ーー何イチャイチャしてんだよ。



「……えっと、何で俺たちはこんなトコにいんだ?部屋にいたはずだよな?」



なんだかテレる俺はとりあえず話を逸らす。コイツってそうやってたまにデレるのがズルいんだよな。流石に可愛いって思うわ。


ーーさっき強姦されてた事忘れてんなよ。そのすぐにデレデレするトコ女になっても変わんないよね。



『わからん。戻って来たらここにおった。』



俺たちがいるのはホテルの通路だ。何階なのかはわからないけど通路にいる。場所が変わってるのはどうせオレヒスが適当だからだろう。いつものことだ。



「とりあえず部屋に戻ろっか。みんな心配してるかもしれないし。何よりもう一回風呂入りたいよ。」


『そうだな。妾も温泉に入りたい。』



「んじゃ行きますか。よっこらしょ「タロウさん!?」」



俺が起き上がろうとすると通路の先から牡丹の声がする。俺が目を向けると一瞬のうちに距離を詰め、目の前に現れる。もうさ、世界記録更新してるよその速さ。オリンピック出たら?



「おう、牡丹。」


「部屋から急にいなくなられたので心配しました…あまり心配かけさせないで下さーー」


「ごめんな。俺にも何がなんだかわからなくてさ。起きたらここにいたんだよ。ん?どうした牡丹?」



ーー牡丹は慎太郎の目が少し腫れているのを確認する。


ーー牡丹は慎太郎の頬に涙跡があるのを確認する。


ーー牡丹は慎太郎の口元が少しテカっているのを確認する。


ーー牡丹は慎太郎の服が破れ、伸び、乱れているのを確認する。


ーー牡丹はヤンデレモードに入る。そして剣呑な雰囲気を醸し出しながらノートゥングをハイライトの無い目で睨みつける。



「ノートゥングさん、タロウさんにナニをしたんですかぁ?こんなにボロボロになって涙まで流してるじゃないですかぁ?コレ強姦してますよねぇ?返答によっては許す事はできませんよぉ?」



ーー牡丹から危険な匂いがオーバーフローしている。過去最大級に危険だね。



「おいおいおい、落ち着け牡丹。どうしたー?なんかヤバいオーラ出てるよー?深呼吸でもしよっか?」



あかんですやん。なんか今までで一番ヤバい空気出てますやん。洒落にならんやつですやん。



『フッ、別に妾が此奴にナニをしようとお前に許しを得る必要など無いだろう?』



ーーノートゥングが牡丹を煽る。牡丹の綺麗な顔が少し歪み始める。女の子がしちゃいけないような顔はしちゃダメだよ?



「おい、煽るような事言ってんな。牡丹?大丈夫だよ?俺が我慢すれば良いだけだから。ね?」



ーーお前さぁ、そんな言い方したら牡丹ちゃん更にキレるでしょ。わかってないなぁ。



「タロウさんが我慢をしなきゃいけないような事をしたんですねぇ。許せませんねぇ。ノートゥングさんにはタロウさんが受けた苦しみを何倍にもして返してあげますねぇ。」



あかん。完全にブチキレとる。ヤンデレモードが進化しとる。どないしよう。


ーーあーあ。しーらない。



『ククク。良いだろう。二度と妾に逆らえんようにしてくれるわ。』



ーーノートゥングからも剣呑な雰囲気が出始まる。戦争の始まりだね。



「ちょっと待てって。なんでケンカ始めんの?こんなくだらない事でやめようって。

仲良くしよ?」



ーー慎太郎が止めに入るが2人は互いに睨み合う。もはやこの戦争は止められない。



「じゃあ、卓球対決ですねぇ。」


『ああ、良いだろう。』


「えっ?なんだって?今卓球って言った?」


「温泉と言えば卓球ですからねぇ。」


『ああ。これ以外に相応しい勝負方法は存在せん。』


「ごめん、俺の耳腐ってんのかもしんない。もう一回勝負方法聞いて良い?」


「それじゃあラケットと卓球台を借りて来ましょうねぇ。」


『ああ。』


「えっ、シカト?」


「フロントにありますかねぇ?」


『無ければ買って来させれば良かろう。』


「大丈夫よ。私が支配人に聞いてみるから。」


「流石は楓さんですねぇ。」


『ふむ。』


「さりげなく話に入ってるのおかしくない?楓さんどっから湧いたの?」


「それよりせっかく6人いるんだからダブルスにしない?」


「良いですねぇ。」


『面白そうだな。』


「えっ、7人じゃない?あ、俺ハブにされてる感じ?なんかこの流れ前にもあったよね?」


「3ペアを作って巴戦をしましょう。2勝すれば優勝よ。そして、優勝商品は今晩タロウさんと3人で過ごす『夜這いもオッケー朝までウフフ♪プラチナチケット』はどうかしら?」


「最高ですねぇ。」


『悪くないな。』


「お前らさ、俺が寝てる時に打ち合わせしてたろ?台本作ってたよね?仲良しで良いね。おっちゃんお前らがケンカしてなくて安心したよ。」


「じゃあ決まりね。負けたからって絶対邪魔しちゃダメよ?」


「わかりましたよぉ。」


『仕方あるまい。』


「いやいや、決まりじゃないから。」


「じゃあ行きましょうか。」


「はぁい。」


『ククク、腕が鳴るな。』


「シカトやめよ!?ねぇ!!」



ーー朝から卓球バトルの始まりですな。

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