第453話 無意味なダンジョン探索

…えっ?なんで?男に戻ってたよね?


髪は…長い。


筋肉は…無い。


胸は…ちょっとある。


息子は…いない。


「えっ!?女じゃん!?また女になってんじゃーー痛ってぇぇぇぇ!?」



ーーパニくって自分の身体を弄っている慎太郎の頭上に強烈な拳骨が振り落とされる。

ノートゥングだ。ノートゥングが非常に怖い顔で慎太郎を睨みつけている。



「なっ、なにすんだよぉ!?本気で痛いじゃん!?女は殴らないんじゃなかったのかよぉ!?」



ーーうん、本気で痛かったんだろうね。慎太郎の目、涙目になってんじゃん。



『この馬鹿タレが!!!せっかく男に戻ったのに1分と経たずに女になるからだろうがッ!!!』


「そんな事言ったって知らねーよ!!!井戸子がいるなんてわかんねーもん!!!自分だって気づかなかっただろ!?」


『五月蝿いッッ!!!黙れ!!!また殴られたいのか!!!』



ーーうーん、理不尽。さっき強制精飲させられた挙句にこれは流石に可哀想。そもそもノートゥングもブルドガングもふざけてたから敵に対する警戒してなかったわけだよ。これはちょっと酷いね。



「ううっ…てかクラウソラスは高性能センサーついてるんだよね!?なら井戸子がいたのわかったんじゃない!?」



ーー涙目になってる慎太郎がクラウソラスに不満をぶつける。てかさ、男に戻った時に上着破けてるからブラ丸見えだよ。それにブラも伸びちゃってるし、スカートもはだけてるし、涙跡はあるしだからなんだか強姦された後みたいになってるよ。



『はい、わかってましたよ?』


「えっ、なんで言わないの!?言わなきゃダメだよね!?」


『言えと言われなかったので。』



このクソ女神何をしれっと言ってんの。お前のせいで頭にコブできてんじゃん。本気で痛かったんだからな。ノートゥングの奴全力でゲンコしやがったからマジで涙出たんだからな。



「言われなくてもそれは言わないとダメだよね!?言おうよ!?」


『わかりました。次からは言います。』



コイツってなんかズレてるよね。常識がねーもん。駄目神じゃん。駄目神様ですよ。

てかさ…マジで頭痛ぇ…なんなのこの女王様。本気で叩かなくてもよくない?これは美波の責任だよ。美波の躾が悪いからだよ。


ーーそうそう。全部あの女が悪いよね。



『んでどーすんのよ?さっきの汁飲ませてももうダメなんでしょ?』


『5、6本飲ませればいけるかもしれんぞ。』


「やだぁ…!!!もうアレはやだぁ!!!」



ーーもう女でもいいんじゃない?別に男の慎太郎にこだわる必要は無いよ。女でも愛せる。



『あんな臭い汁5、6本も飲ませるのは可哀想でしょ。もう違う方法にしようよ。』


「ブルドガング…!!」


『それもそうだな。此奴が臭くなってしまっては元も子もない。違う方法を探すか。』


「ノートゥング…!!2人ともありがとう!!」



ーーいや、お礼はいらなくない?その2人は強姦魔じゃん。これだから慎太郎はダメダメなんだよ。ちゃんと私が面倒見てあげないと。



『先ずはこのフロアの探索でもするか。何かレアアイテムでもあるかもしれん。』


『だね。今度はボス部屋には入らないようにしないと。』


『いえ、この階層はかなり狭いですよ。あまり探索するような場所もありません。』


「そうなの?」


『はい。半径1km程度の規模しかないかと。フルーフなどの気配も感じられないので一周しながらボス部屋に行くしかやる事はないと思います。』


「ふーん。ならそうするか。急に敵が現れるパターンもあるから警戒は怠らない事ね。俺は弱いかーー」

ーーテレレレレッテッテッテー



ーー慎太郎が喋っているとファンファーレのような音が鳴り響く。



「なんだなんだ?」



ーーアイコンが表示され、状態についての説明が始まる。



【 田辺慎太郎のレベルがアップした 】


【 田辺慎太郎のレベルは2になった 】


【 田辺慎太郎の攻撃力が2上がった 】


【 田辺慎太郎の敏捷性が4上がった 】


【 田辺慎太郎の知力が4上がった 】


【 田辺慎太郎はスキル《妙な色気》が使えるようになった 】


【 田辺慎太郎はスキル《格闘系スキル上昇(小)》が使えるようになった 】



「レベルアップあるんだ。てか一個おかしいのあるよな。なんだよその変なスキルは。」



ーーさっきからアンタ、えろっちいからじゃない?そのカッコであっちに戻ったら楓ちゃんにどっか連れてかれるよきっと。



『でもなんでタロウのレベル上がったの?何もしてなくない?』


『恐らくはパーティーの経験値が此奴に入るのだろう。お前が魔物を倒したからそれの分だな。』


『へー。ならその内タロウも強くなるって事ね。』


「上昇値みる限りじゃなかなかに時間かかりそうだけどな。レベル12のオーク倒しても1レベしか上がらんし。」


『気長に待つしかあるまい。その間は妾とブルドガングでなんとかすれば良いだけだ。』


『でも属性ってのが厄介よね。炎と雷に強い奴がいたら終わりじゃない?』


「だよな。そうなるとクラウソラスとの親愛度を上げるか、俺が強くなるしか方法がない。」


『ならば私たちの親愛を深めるしかありませんね。

『グヘヘ、ピンク髪最高!そんな髪色しやがって、本当はこういうのが好きなんだろ!!このエロ女神め!!孕ませたる!!俺の遺伝子注ぎ込んだる!!!』

と、このような屈辱的な言葉を浴びせられても我慢します。頑張りましょう、タロウ。』


「お前、俺との親愛度深める気ねぇだろ。」


『では行くか。一周回ってボスを狩って地下3階へ進む。』


「えっ?連続で行くのはやめない?この階クリアしたらひとまず終わろうよ。」


『馬鹿タレ。貴様を元に戻すまで終われるか。』


「でも一気にやるのはやめようよ。なんかさっきからダルいんだよね。妙に疲れてんの。」


『何?』



ーーノートゥングが慎太郎の顔を覗き込むように見る。口の周りがテカってるのがまたえろっちいけどそれは置いておいて、顔色があまり良くは無い。それはノートゥングにもわかった。



『魔力が減っているな。この空間がよくないのか。』


『恐らくそうですね。滞在しているだけで身体から魔力を吸い取られるのでしょう。一階層毎に休息を取るしかありませんね。』


『仕方がない。ボスを倒したら帰るぞ。また明日来る。』


「ハードスケジュールだなぁ…」



ーー慎太郎たちは地下2階層を探索しながらボス部屋へと進む。ボスは大きめのオークが一体いただけだったのでブルドガングがなんなく斬り殺して終わった。アイテムやドロップなどは何も無い。レベルも上がらない。慎太郎がえろっちいだけで何の意味もない二度目のダンジョン探索が終了した。


ーーだが、事件はこの後に起こる。このままの状態で慎太郎は戻されるわけで、それを見たヤンデレの人が怒り心頭になるのである。









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