第446話 不可抗力
「マイページに来たのは良いんだけどどうやってダンジョンに行くんだ?」
朝メシを食い終えた俺とノートゥングは、俺の呪いを解く為に再度ダンジョンへと繰り出す事となった。これだけ聞くと、ささっと朝メシ食って出掛けたみたいな感じに聞こえるかもしれないが実際はとても大変だった。特に牡丹が。みくの奴は言わなかったけど着信と通知が鬼のように牡丹から来ていたらしい。1秒刻みで。部屋に戻ったら半分ヤンデレモード入っててなだめるのに一苦労だった。指輪の効果が切れやがったんだな。また何か与えなければならん。次は何を与えればいいんだろうか。
ーーだからウエディングドレスだって。それか婚姻届。
美波の奴もなんだかゴネてたんだよな。変態属性持ちだけどあの中で一番物分かりがいいと思ってたのに今日は妙にゴネてたんだよ。こう考えてみると美波には甘えきってたのかもな。他の子の事には構ってたけど美波はわかってくれると思って構ってなかった。反省しないとな。後で美波との時間を作ろう。
ーーそうかなぁ。割と時間作ってんじゃない?そもそも色々と私物を盗まれてんだからほっとけば?
アリスは…なんかおかしいんだよ。マジでおかしいの。俺見ちゃったんだよ。アリスがネックレスしてんの。ナニあれ?どこで手に入れたの?いやね、わかってるよ?蘇我だろ?あのクソがアリスにあげたんだよ絶対。
ーーお前普段は鈍いのにそういうの鋭いね?
あのロリコン野郎…マッチアップされたらどさくさに紛れて亡き者にしてやる。
ーー返り討ちにあうんじゃない?
そんで楓さんはやたらと俺に触って来るしさ。あの人さ…やっぱり百合属性あんじゃね…?
ーーうん、そうだね。
俺の貞操を奪われそうで怖いんだけど。あの人に酒飲ませるのは絶対やめよう。昨夜少し飲ませた時だってなんかヤバかったし。牡丹いなかったら無理矢理ヤられそうな雰囲気あったし。
ーーちょっと見て見たかったけどね。
もうこのクランダメダメじゃねぇか。やっぱり解散だな。うん。
『しらん。』
俺の独り言に律儀に答えるのはノートゥングだ。もうコイツってなんでもアリだよね。マイページですら普通に出て来てんじゃん。
「アイツらって説明ホント足りないよな。これじゃ行きようがねーよ。」
『そうだな。だが予測はつく。彼奴らの知能で考えられる事と言ったらマイページからダンジョンへ繋がる扉を設置しているのではないか。』
「ポイな。」
『部屋を調べれば見つかるだろう。どれ、探すとするか。』
なんかさ…ノートゥングって優しいよね。口は悪いけど気にかけてくれるっていうか優しいんだよな。
ーーまぁ、お前は優しくされるのに弱いもんね。
ちゃんと礼を言っておこうかな。こんな時じゃないと言えないもんな。よし。
「ノートゥング。」
俺はノートゥングを呼び止める。ノートゥングは振り返り俺を見る。俺は足を踏み出しノートゥングへと近づーー
ーーいたんだけど、慎太郎は蹴躓いてしまう。そしてそのままの勢いを止める事は出来ず、前にいるノートゥングを押し倒し、ちょうど都合よく配置してあるソファーへと倒れ込む。
「ごっ、ごめん…!!」
『……。』
ーー慎太郎が上でノートゥングが下。顔の距離は3cm。互いの息がかかる。
『……元気いっぱいではないか。』
「……いや、これは不可抗力で。」
ーー2人は見つめ合う。そして、どちらからともなく唇を近づけーー
『御取り込み中の所失礼致しマス。』
ーーほぼ真横から声がするので慎太郎とノートゥングは振り返る。そこにはいたのは自身をヌルと呼ぶモノ。生気のない死んだような目で2人を見ている。その視線に気恥ずかしくなった慎太郎とノートゥングは無言で起き上がる。
「……何?」
ーー慎太郎がちょっと不機嫌そうにヌルへと問う。お前なんでイラっとしてんの?
『ダンジョンへ行かれたいのかと思いましたのでその御説明をト。』
「…んじゃさっさと説明してくんない?」
ーーお前のどこが性欲無いんだよ。
『畏まりましタ。ダンジョンへの入り口ですガ、こちらソファー傍に地下へ続く階段を御用意しておりマス。地面にあるこの扉を開けマスト…このように階段がありますのデ、ここから進まれますとセーブポイントの次階層から始める事が可能デス。』
「……あっそ。わかったからもう帰ってもらっていい?」
『畏まりましタ。それでは失礼致しマス。』
ーー不機嫌な慎太郎に一礼してヌルは消える。
「……。」
『……。』
ーー2人は無言だ。目も合わせない。
「……そんじゃ行こっか。」
『……そうだな。』
俺たちは階段を降りる。……なんかもったいない事したよなぁ。あのヌルとかいう野郎が邪魔しなきゃ完璧キスしてたよなぁ。
……やっぱさ、ノートゥングって俺の事好きなんじゃね?だよな?勘違いじゃないだろ。あの親愛度300%オーバーだって故障じゃなくてホンマの事やったんや。
……はぁ。な訳ないよな。急に押し倒されて驚いただけだよな。
ーーなんかいきなり弱気になったな。でもそれが慎太郎だよ。
気合い入れてダンジョン攻略と行きますか。でも……イベントやり過ぎじゃね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます