第412話 属性

『で?妾たちは何をやればいいのだ?』



ーーノートゥングがいつもの凜とした態度でヌルに問う。


痛え…イベント始まる前から大ダメージ負ってるんだけど。アリスがいたら回復してもらわなきゃいけないぐらいのダメージだよ?ノートゥングのやつ容赦ねぇんだもんな。

…てか、あの親愛度っちゃなんだったんだろう。本当に壊れてたのかな…?



『目的としましては2つありマス。1つは当然ながら親愛度を上げるコト。そしテ、ダンジョンに潜って攻略をしてもらうコト。』


『ダンジョン?なにそれ?』



ーー笑い転げていたブルドガングが落ち着きを取り戻しいつものように振る舞う。



『皆様方にはこれからダンジョンに入って頂きマス。ダンジョンには”特殊装備”等があリ、それらを入手してクランリーダーの強化をする事が目的となりマス。』


『ほう。それは随分と大盤振る舞いだな。先程の貴様の話ではメンバー内に英傑を呼び出せる者がいなければこのイベントには参加出来んと言った。ならば他プレイヤーとは相当の差がつくのではないか?』


『剣王サマの仰る通りデス。ですガ、ダンジョンは決して簡単なモノではありまセン。ゾルダードやフェルトベーベルを始めとした御馴染みのファイントに加えてここでしか現れないウンゲテュームが配置されておりマス。』


『何だそれは?』


『魔物という事ですね。』



ーーノートゥングの問いにクラウソラスが答える。



『流石は剣神サマ、よく御存知デ。』


『なるほどな。つまりは『ああるぴいじい』という奴か。ククク、面白そうではないか。』



…もしも壊れてなくてアレが事実ならさ…ノートゥングは俺の事大好き…いや、愛してるって事か?某ロボットアニメの主題歌歌詞みたいな気持ちを俺に持ってるって事か。

ヤベーなそれ!!そうだよな、コイツって俺にキスしてきたんだもんな。おいおいおい、モテの波が止まらねーよ!!



『御気をつけ下さイ。何度も申しますガ、貴女方はタナベサマとの親愛度に応じて力が解放されマス。それほど上手く行くとは思わない事デス。』


『それもっと詳しく教えなさいよ。アタシならどれぐらいの事ができんのよ?』


『剣帝サマの親愛度だと”憑依”程度の力かト。当然ですが聖剣は使えませんのデ。聖剣が使える”具現”相当の力は親愛度が100%以上にならなければ不可となりマス。』


『あー、だから剣王は聖剣出せたわけねー。ふーん。』


『くっ…!!!ふんっ!!!』


「痛ぇっ!?」



ーーニヤニヤしながら妄想している慎太郎をノートゥングがブン殴る。



「な、何すんだよ!?」


『うるさいッ!!!』



ーーうーん、理不尽。



『あァ、剣王サマは300%の限界を突破しておられるんでしたネ。それだとボーナスとしてタナベサマの力より1段階上の力が付与されマス。』


『妾の親愛度は30%だッ!!!』


「いってぇ!?」



ーー更にもう1発慎太郎の顔面にノートゥングのパンチが飛んで来る。


こんなに俺の事殴るのに親愛度が限界突破なんてしてるわけがねぇ…やっぱただの間違いだわ…


ーーノートゥングの恋は進まないねぇ。



『気をつけなくてはいけないのは剣神サマでス。その親愛度なら普通の人間より少し強いぐらいの力しか付与されマセン。S級ゾルダードの一撃をもらったら即退場となりマス。』


「え?退場ってなに?死ぬの?」



おいおい、誰か死んじゃうようなイベントならパスだぞ。当然だけどクラウソラスたちが死ぬなんてのはありえないからな。



『死にはしませんガ、次回までは参加不可となりマス。』


「どーゆーこと?」


『このミニイベントにはダンジョン内の各階層毎にフロアボスがいまス。ボスを倒すとセーブポイントが現れ離脱するか先に進むか選べまス。離脱して次回ダンジョンに潜る際にはセーブポイントからスタートが可能となりマス。その時にゲームオーバーになった英傑も参加出来るというシステムでス。』


「完璧RPGだな。俺が死んだらどうなるの?」


『現実世界のクランメンバー全員が奴隷堕ちですネ。』


「とうとうハッキリ奴隷って言いやがったな。そこんトコは同じルールなのね。オッケー。そんじゃクラウソラスは守りを固めて俺の近くから離れないでね。剣を持ってないブルドガングも無茶はしない事。」


『わかりました。それでは貴方に任せます。』


『りょーかい。』



うんうん、この2人は素直で助かるわ。



『ククク、そんなもの妾が来る敵来る敵を薙ぎ払えばそれで済む。たわいもない話だ。』



バグで”具現”と同じ力使えて3段階解放相当の力があるんなら相当強えだからそれが一番いいかもな。



『そんなに甘いモノではありませンヨ。ダンジョン内のファイントやウンゲテュームには属性がありマス。相性の悪い属性にはダメージが通りにくイ。階層が下に行けばそんな場面にも出喰わしまス。』


「その言い方だとノートゥングたちに属性があるみたいじゃん。」


『御座いますヨ?剣王サマは『炎』、剣帝サマは『雷』、剣神サマは『光』といったようニ。』


「初めて知ったんだけど。」


『知らなかったの?』


「知らんかった。」


『ボケっとしておるからだろう。この体たらくが。』


「なんか今日当たり強くない!?俺だって泣くよ!?」



ーーま、メンタル弱いもんね。



「んじゃ俺の愛しいバルムンクさんはなんなの?あれ?バルムンクも炎っぽい技使ってたよな?そんじゃノートゥングと同じ炎か?」



ーー慎太郎はバルムンクとノートゥングが姉妹なのは知らない。あの時バルムンクに”憑依”させてたから声が届いてないんだよね。実力が高ければ声が届くんだけど慎太郎は当時弱かったからね。



『剣聖サマは『闇』でス。』


「闇!?なんか予想外なんだけど!?剣聖って称号的に光って感じしかしなくない!?」



マジかよ。俺のバルムンクが闇堕ちしてるとは思わんかった。むしろノートゥングが闇って感じだろ。



『『光』と『闇』の属性は希少種でス。限られたモノにしか付与されマセン。因みにでスガ、『闇』属性は剣聖サマのみデス。』


「えっ、そうなの?」



唯一無二の存在じゃん。流石は俺のバルムンク。ま、闇堕ちしてても何でもいいか。どんなあれでも俺はバルムンクを愛してるし。


ーーお前それ絶対言わない方がいいよ?特に牡丹ちゃんとノートゥングに。



『概要はこのぐらいとなりマス。ダンジョンへと通じる階段はこちらに御座いますのであとは御自由ニ。』



ヌルがそう言うと、空間内に地下へ通じる階段が現れる。



「わからんことはたくさんだがどうせコイツら教える気ないしな。あとは行きながら調べて行こう。準備は良いか?」


『オッケーよ!』


『問題ありません。』


『偉そうにするな。』


「…1人反抗的だがまあいいや。そんじゃ行こうぜ。」



ーー慎太郎たちは階段を下りダンジョンへと向かう。慎太郎たちのダンジョン探索の始まり始まり。

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