第377話 マッサージ
部活を終えた私はシャワー浴びている。右肩と肘が何だか重く感じる。結構投げ込んだから疲れたな。
ドライヤーで髪を乾かし、武道場を出るとちょうどタロウさんと遭遇する。
「お!お疲れ様です。」
「お疲れ様です。良いタイミングですね。」
「本当ですね。てっきり待たせちゃってるかと思ってました。」
シャワー浴びてたからね。密着して密室空間にこれから2人でいるのに汗臭い状態じゃいられるわけないわ。剣道は蒸れて臭くなるのが難点よね。
私たちは車へと乗り込む。なんだか本当に疲れたわね。中学の時ってあまり体力無かったのね。
「疲れました?」
軽くため息を吐いていたのを聞かれたのだろうか。タロウさんが私を心配したような表情で尋ねてくる。
「少し疲れました。中学生の身体は体力無いですね。」
「結構投げ込みましたからね。疲れて当然ですよ。」
「でもタロウさんがそんなに野球が上手いなんて知りませんでした。」
「うーん、まあ昔取った杵柄ってやつですね。こんな所で役に立つとは思わなかったですよ。楓さんの為になれて良かった。」
…そうやって優しく微笑むのがズルいのよ。
ーーまーねー。コイツは天然の誑しだからねー。
「タロウさんから見てどうですか?私はやれそうでしょうか?」
「やれないって思ったらピッチャーを勧めませんよ。楓さんならやれる。俺はそう信じています。」
「…わかりました。あなたの期待に必ず応えてみせます。」
********************
食事も終わってお風呂も済ませた私は寝る準備をする。明日から朝練を始めるみたいだから早く寝ないと。ていうかお酒飲みたいな。かなり長丁場になるわけだから結構キツイわよコレ。もう2日飲んで無いなんて私としてはありえないわ。
……厨房にでも行けばあるだろうけど流石にダメよね。困ったな。
ーーコンコン
お酒の心配をしているとドアを叩く音が聞こえる。
「どうぞ。」
私が入室を促すと入って来たのはタロウさんだ。タロウさんが入って来る。
「こんばんはーーって、やっぱ慣れないなコレ。」
「ウフフ、そうですね。どうしました?」
私の顔が見たくなって、なんて言ってくれたら嬉しいのにな。
ーーそんな乙女な展開にはならないなぁ。でも面白い展開にはなるよ。
「ベッドに寝て下さい。」
「はい!?」
…私の聞き間違いかしら。ベッドに寝て、って言ったような。
「明日早いんだからちゃっちゃとやりましょう。」
やりましょうってナニを!?えっ!?今からナニするの!?
「や、やるってナニをですか!?」
「マッサージですよ。俺が今から楓さんをマッサージします。」
マッサージ!?マッサージってつまりはアレの隠語よね!?それにその台詞は『イケコイ』31巻で『まゆ』が『紅河』にベッドで押し倒された時に言われた台詞と同じ!!
ーー知ってる知ってる。バイトで疲れている『まゆ』を『紅河』がベッドに押し倒して言った台詞だよね。
「そ、そんなイキナリは流石に…その…」
「時間もったいないから連れて行きますね。」
「えっ!?ちょ、ちょっと!?」
ーー慎太郎が流れるような動きで楓をお姫様抱っこの体勢で抱え上げる。そしてベッドに連れて行き、そのまま寝かせ、羽織っているストールを剥ぎ取る。キャミソールだけにされた事で生腕が露わになり、楓はとてつもなく恥ずかしくなる。
「あ、あの…タロウさん…!?」
ーー顔を真っ赤にしながら楓が慎太郎を見る。慎太郎はキリッとした顔で楓を見る。
「始めてもいいですか?」
凄く真剣な顔をしている。私も覚悟を決めないとダメね。彼ととうとう一つになれる。
「…はい。優しくして下さいね…?」
「任せて下さい。」
私は目を閉じる。すると衣摺れの音が聞こえ出す。彼が服を脱いでいるのだろう。心臓の音が凄く大きく聞こえる。静まれ、私の心臓。
衣摺れの音が止み、私は覚悟を決める。すると彼の手が私の右肩を掴む。とうとう始まる。そう思ったと同時にそのまま肩を押されてうつ伏せにされる。私は、なんだなんだ?と思っていると、肩に布みたいな物がかかる感じがする。そして次の瞬間、私に快感が走る。
「あうっ…」
「気持ち良いですか?」
「かなり…あぁ…」
「なら良かった。」
「う…うますぎです…よ…」
「あはは。得意なんですよ、マッサージ。」
ーーおわかりだろうか?慎太郎と楓は情事など一切行なっていない。至って健全なマッサージをしているのである。
「あれだけ投げ込んだんだから相当疲労度が高いですからね。ちゃんとマッサージして寝ないと明日投げられませんよ。」
「ああっ…!気持ち良いぃぃ…!」
ーーエロい声を出してる楓。だがスケベな慎太郎なのにそれに対して何の反応も示さない。慎太郎は何かに集中していると煩悩が消えるタイプなのだ。
「下半身も結構張ってますね。」
ーー慎太郎の手が楓の腰や尻にに伸びる。本来ならこんなお触り放題のラッキータイムに慎太郎が下半身を膨らませないはずがない。でも今は煩悩がゼロだ。邪な気持ちは一切無く、楓の腰と尻を撫で回す。
「ああぁぁぁ…!うぅぅ…!」
「痛くないですか?」
「きもちいいだけれすぅ…!!」
「眠かったら寝て良いですからね。寝た後もちゃんとやりますから。」
「ああぁぁぁ…!!」
ーー何だかえっちな楓であった。
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