第328話 ツヴァイとサーシャ
【 ??? 】
「随分と面倒な事になったわね。」
ーー何も無い真っ暗な空間に銀髪の美少女、サーシャが現れる。
『…ええ。アインスにしてやられたわ。まさか二重イベントを仕掛けてくるなんて全然考えていなかった。』
ーー仮面を外したツヴァイがその可憐な顔を歪ませながら苛立つ。
「それに加えて嫌な報告がまだあるわ。田辺慎太郎と綿谷みくの部屋はミリアルドが担当になったわ。」
『…チッ。予想はしていたけどやっぱイラっと来るわね。』
「ここはなんとか田辺と綿谷に頑張ってもらうしかないわね。本当なら芹澤が入ってくれていた方が良かったんだろうけど。」
『みくちゃんね…。まぁ…知能は高いだろうからマシかな。アリスちゃんだとかなり
しんどいだろうけど。』
「そうね。問題はミリアルドよ。これは偶然では無い。意図的にミリアルドを田辺たちにアテた。アインスは何をするつもりかしら。」
『…殺しはしないと思うけど。でも…わからない。タロウを信じるしかない。』
ーーツヴァイが不安げな顔を見せる。その表情は今にも泣き出してしまいそうだ。彼女にとって田辺慎太郎はかけがえのない存在なのだろう。だからこそそんな表情を見せてしまうのだ。
「私も田辺慎太郎がそんな簡単に死ぬ男には思えないわ。死ぬ一歩手前まで何度追い詰められようとも、あの男はそれを覆した。流石は”剣聖”に選ばれただけはある。そう思ったわ。だから信じましょう。貴女が認めた男なんだから。負けたりなんかしない。きっと大丈夫。」
ーーサーシャが優しげな顔をツヴァイに見せる。その表情を見せる事でツヴァイを落ち着かせたい。そう思っての事だ。
『…うん。ありがとう、サーシャ。』
「フフッ、どういたしまして。私は”○○”には泣いて欲しくないから。だからそんな顔はさせたくない。」
『私の名前は禁句でしょ?』
「誰も聞いてないわ。それに聞こえない。他の誰にも。」
『でも今はツヴァイよ。私の名は…タロウに告げるその日まではツヴァイ。』
「わかったわ。その日まではもう言わない。私も葵もリリも。決して言わない。」
『ありがとう。』
ーーツヴァイ、サーシャ、葵、リリ。この4人にどのような繋がりがあるのかはわからない。ただ分かる事は、揺るぎない信頼があるという事だ。お互いがお互いの事を心から信頼している。紛う事ない確かな信頼が彼女たちにはある。
『後は楓ちゃんと牡丹ちゃんに期待するしかないね。彼女たちが勝ち切って”アレ”を手にする。それが最高のシナリオ。』
「ええ。勝ち切ったとして、恐らく選ばれるのは芹澤。”アレ”を使いこなせるかが”覚醒”への第一段階。これも賭けね。」
『ダメなら牡丹ちゃんの”覚醒”か…』
「田辺慎太郎を共有する事も覚悟しなさいよ?」
『うっ…』
ーーツヴァイの見目麗しい顔が嫌そうな表情へと変わっていく。
「私と”覚醒”した島村がやり合えば全て消し飛ぶ事になる。そうなったらオルガ二を潰すどころじゃなくなるわ。仮に私が勝ったとしても重傷は避けられない。そこをオルガ二やヴェヒターに攻められたらいくらリリでも無理よ。そもそもリリは複数相手は苦手なスキルなんだから。葵は馬鹿だから論外だし。」
『…わかってるよ。まぁ…あの子なら我慢するよ…相葉美波じゃなければ。』
「田辺慎太郎が貴女と島村を一緒に抱きたいって言っても?」
ーーサーシャが意地悪そうな顔をしながらツヴァイをからかう。
『…サーシャ意地が悪いよ?』
「あら、ごめんなさい。フフッ。」
『…まぁ、仮にそう言われたら…従うけど…』
「健気なのね。貴女のそういう所好きよ。」
『私もサーシャの事好きだよ。』
「フフッ、ありがとう。」
ーー2人が笑い合う。
「何度も言うけど貴女がそれでも良いっていうなら相葉は殺せばいいじゃない?芹澤は”贄”にして結城はフレイヤ神に渡す。綿谷は…よくわからないけど。」
『ダメ。相葉美波はただ殺すだけなんて生温い罰じゃ済まさない。苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて、それから殺す。』
「嫉妬って怖いわね。やっぱり貴女と島村は上手くやれるわよ。」
『てかさ、よく考えたらその案で行くと、楓ちゃん”贄”にした時ってタロウ怒るよね?私嫌われるんじゃない?』
「私が連れて行った事にすればいいでしょ。」
『サーシャ…』
「私は貴女が幸せになればそれでいいわ。」
『…ありがとう。』
「どういたしまして。さて、それじゃ私はそろそろ行くわ。結城アリスの護衛をしないとね。結城が死んでしまったらフレイヤ神の協力は得られなくなってしまうもの。出来れば島村とペアになってればいいけど。」
『こればっかりは運だもんね。気をつけてね、サーシャ。』
「ええ。また後で。」
『あ、待って!』
「どうしたの?」
ーーツヴァイがサーシャを呼び止める。
『甘いもの食べて行った方がいいよ。疲れてるでしょ?』
ーーツヴァイがサーシャにお菓子を手渡す。
「貴女コレ好きね。」
『思い出の味だからね。』
「頂いておくわ、じゃあね。」
ーーサーシャが手を振り闇に消えていく。
『さてと、私もエヴリバーガー食べて一仕事しますか。』
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