第323話 告白5
……マジか。今までのポンコツたちとは違ってストレートに言って来やがった。ライクかも、なんて可能性はゼロだ。えっ?マジすか?この可愛い属性の日本代表みたいなルックスのみくが俺の事好きなの?付き合いたいの?おいおいおいおい!!マジかよ!?じゃあこのけしからん身体を俺の好きにしていいの!?関西弁プレイしちゃっていいの!?くぅー!!今日何回戦しちまおうかなぁ!!!
……いやいやいや、違うだろ慎太郎。ヤバいって。捕まるって。淫行じゃん。未成年はマズいって。それに牡丹に絶対刺される。それどころか無理心中待った無しだろ。
ダメだ。これは説得しないと大変な事になる。それにみくの俺への気持ちは錯覚なんだからちゃんと言い聞かせればきっと気づくはずだ。よっしゃ!言ったるで!!
「みく。みくのその気持ちは嬉しい。ありがとう。でもな、みくの俺への気持ちは錯覚だよ。」
「…錯覚?」
「そうだ。この前の入替戦の時に俺がみくを助けた。それが引き金になったんだろ?それはあんな状況から助けられたからだよ。好きってのとは違う。懐いてるだけだよ。だからそれはみくが錯覚を起こしてるだけなんだよ。」
よーし、良い感じに台詞が言えたぞ。これでみくも目を覚ますだろ。こんなブサイクなオッさんを美化する魔法が解ければ恋心が錯覚だと気づく。これにて一件落着だな。
「錯覚起こしてるのはタロチャンやろ。」
「え?」
「確かにきっかけは入替戦でタロチャンがウチを助けてくれたからだよ。タロチャンが助けてくれなかったら今頃ウチはあいつらに好きなだけ身体を弄ばれてたと思う。女として生まれた事を死ぬ程後悔するぐらいの事をされ続けてたと思う。それがウチの未来やった。そんな地獄のような未来が待つウチをタロチャンが救ってくれた。感謝しても感謝しきれへん。それぐらいの恩がタロチャンにはある。でもな、それだけでこんな気持ちにはなってへん。確かに数日しかタロチャンと一緒におらん。でも、その数日の中でタロチャンの人となりを見てもっと好きになったんや。あ、ええなぁ。この人優しいなぁ。そういうんが重なってこの気持ちになったんや。」
「……。」
ーーみくの話を慎太郎は無言で聞く。
「みんなも同じや。牡丹チャンも、楓チャンも、美波チャンも、アリスチャンも。ウチと同じ気持ちやからタロチャンと一緒におんねん。でも…ウチは…タロチャンの一番になりたい。特別になりたい。だから想いを告げました。」
…ストレートに言ってくる分言い訳が出来ねぇんだけど。困ったなどうしよう。でも惚けるわけにはいかない。今まで通り正直に応えるか。
「みく。」
「はい。」
「みくの気持ちは正直嬉しい。みくみたいな可愛い女の子に好意を寄せられてドキドキしてる。それに…俺もみくの事は好きだ。」
「じゃ、じゃあ…!」
「でもみくの気持ちには応えられない。ごめん。」
みくがこの世の終わりみたいな顔で俯いてしまう。心が痛い。ブサメンが女を泣かすような事するとかどんだけだよ。
「……みんなの内の誰かが好きなん?」
みくが絞り出すように声を出して俺に尋ねる。
「違う。そうじゃない。俺は今は誰かと付き合ったりとかは出来ないんだよ。アリスいるだろ。実はな、俺はアリスを引き取ったんだよ。」
「どういう事…?」
ーー
ーー
「ーーてな訳なんだ。」
俺は今までの経緯をみくに話す。みくは賢い子だ。きっとこの話をすれば理解してくれる。もったいないけどしょうがない。関西弁プレイは諦めよう。
ーーなんてバカな事を考えているとみくが涙を流している事に気づく。それを見て慎太郎は狼狽える。
「どっ、どうした!?」
「ちゃうねん…感動したんや…アリスチャンの苦労についてウチはよく分かるから感情移入したのと、タロチャンが優しすぎて…ウチ、タロチャンの事もっと好きになった。」
悪化しとるやん。いつもと同じパターンやん。どないすんねん。
…落ち着け。まだ慌てる時間じゃない。ここからや、ここからやで!!
「…だからそういう訳でみくとはーー」
「ーーわかった。」
…またデジャブなんだけど。
「…わかってくれたか。みくならわかってくれると思ったよ。」
「つまり、アリスチャンをウチらの子として考えろって事やろ?」
「お前ら俺の事絶対ハメてるだろ!?録音してみんなで笑ってんだろ!?」
…なんでコイツらってみんなこうなの?顔の良い女ってもれなくポンコツ属性持ちなの?
「それにな、牡丹や楓さん、美波とアリスにも告白されたんだよ。当然みんなにもみくと同じように俺の気持ちを伝えた。」
「……。」
「みんなは俺が返事を出すまで待つって言ったけどみくはーー」
「ーーウチも待つ。」
「え?」
「ウチもタロチャンが返事をくれるまで待つ。10年でも20年でも待つ。ウチの人生、もうタロチャンしか見えない。タロチャンとの将来しか想像でけへん。諦めるなんて出来ないし、しとうない。」
「みく…」
「ま、その前にタロチャンがウチの事を好きで好きで堪らんようにしたるけどな!心からウチにゾッコンにさせたる!」
そう言いながらみくは凄く可愛い顔で笑っていた。そこまで17歳の女の子に言わせちゃってんだから俺も腹をくくらないとな。
「…わかった。みくがそれでも良いなら俺は何も言う権利は無い。返事は必ず出すから。」
ま、それにみくの気持ちだって一年先は変わってるさ。今は俺への感謝からの好きって気持ちで一杯なだけで、時間が経てばどんどんその感情は減っていくさ。うんうん。
ーーお前の認識の甘さでもはやハーレム完成してるけどな。この女誑しめ。
「それじゃ早速アピールさせてもらうね。」
「え?」
そう言いながらみくがベッドに腰掛けている俺の上に乗りかかってくる。所謂対面座位の体勢で。
「ちょっと!?何してんの!?」
「チューしよ思って。」
「は!?なんで!?」
「チューしたいから。」
「ダメだろ!?アホか!?」
「なんで?なんでダメなん?」
みくはビッチなのか…?経験豊富なのか…?非処女なのかな…?それだと嫌だなぁ…
「…あのな、俺みたいな童貞にそういう事するとな、要はムラッとしちゃうわけよ。襲っちゃうかもしれないわけよ。だからダメなの。わかる?」
「タロチャン童貞なん?ウチも処女やでー。同じやん。」
「えっ?みくって処女なの?遊んでるんじゃないの?」
「ちょいちょいちょい!!何を失礼な事言うてるん!?キスだってした事ないで!!」
「てっきり経験豊富なのかと思ってた。」
「まったく!!失礼やで!!お詫びとしとウチのファーストキス貰って。」
「いや…だから…」
「ムラムラしてんならこのままやればえーやん。ウチ…ええよ…?」
ーーみくが頬を染めて上目遣いで慎太郎へ問う。
「……。あー!!ダメダメ!!決心揺らぎそうだけどダメ!!そういう事はハッキリしてからでないとダメ!!」
ーー慎太郎は頑張って煩悩を振り払う。だが哀しいかな、股間は膨らんでいるのだ。
「マジメやなぁ。でもウチはそんなタロチャンだから惚れたんやで。」
「……。」
ーー慎太郎はストレートに気持ちを伝えられるのが弱い。みくのように気持ちをハッキリと伝えるタイプには非常に弱いのだ。牡丹も割とハッキリ気持ちを伝えるタイプではあるが、みくのように行動には移さない所で差が出る。
「ま、ええか。今日のところはーー」
「ーーんんっ!?」
ーーみくが対面座位の姿勢から慎太郎の頭を両手で掴み唇を奪う。
「ーーチューで我慢する。これからガンガンアピールするからね。」
「……。」
ーー慎太郎は思った。
『耐えられるんかな…』
と。
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