第253話 マウント
【 慎太郎・楓・アリス 組 1日目 PM 9:53 洞窟 】
俺たちはフロア全体を入念に調べながら牛歩の如くゆっくりと歩みを進めていた。間違い無く牡丹は俺の所に向かっている。絶対ピンポイントで。それならば色々調べながら進んでいる方がお得なはずだ。もしかしたらプレイヤーが仕掛けたトラップがあるかもしれないし、隠し部屋や何らかのアイテムがあったりするかもしれない。
それにアリスはゼーゲンを持っていないので体力は普通の小学生だ。俺たちと同じに考えてはいけない。少しでも疲れないように気遣ってあげないとな。
「今の所は特に何もありませんね?」
「そうだな。何の変哲も無い洞窟って感じだ。隠し部屋も無ければスイッチがある訳でも無い。道も一本道が続くだけ。絶対どこか別のエリアに繋がってそうだな。」
「私もそう思います。ここだけでは20組もクランがいて戦い切れる訳が無い。まとまった空間が必ずあるはずです。」
「そうですね。先ずは全員が合流してからが本番です。牡丹と美波が5人倒してるんだから俺たちも合流前に何人か倒せると良いんだけど。」
先程また牡丹と美波が敵を3人倒したという通知が来た。短時間で敵を5人も倒してる事からズンズンこちらに向かって牡丹が斬り捨てている様が手に取るように想像出来る。そういえば今回はスタート時に運営からの通知が来なかったな。何かあるんだろうか?
そんな事を考えながらのんびり進行していると、人の気配を前方から感じ取った。
「楓さん。」
「ええ、敵ですね。どうしますか?」
「迎え討ちましょう。ここは俺に任せて下さい。サブスキルの力を確かめてみたいんです。」
「…なるほど。日付が変わるまで2時間切ってますものね。わかりました。私とアリスちゃんは後方で待機しています。」
「危なくなったら援護しますね!」
「おう。じゃあ頑張って来る。」
そう、俺には秘策がある。この前のクソチケット争奪戦の時にポンコツ供がクソチケットにしか興味が無くて誰も触れなかったが実はサブスキルガチャで俺はアルティメットを引き当てていたのだ。メインスキルの時同様にしれっと引き当ててしまう俺のヒキの強さにドン引きだったぜ。
因みに俺のその時に引き当てたスキルはこれだ。
《 アルティメットレア スキル完全制御 効果 トラップスキル。肉眼で認識した相手のスキルを封じる。それはかけられているスキルについても同様とする。肉眼で捉えている間のみ有効。但し、瞬きは有効とする。発動している間は認識すれば何度でも効果を与え続けられる。発動時間は1日5分、1回まで。Lv.1 》
《 スーパーレア スキル効果上昇 効果 対象のスキル効果を上昇させる事が出来る。その効果率はスキルにより異なる。尚、1日1回のみ。Lv.1 》
こんな感じだ。アルティメットは流石に効果が半端ない。これで俺が敵を抑えて楓さん、牡丹、美波の誰かに始末してもらえばどんな奴でも瞬殺だぞ。ネタが割れてれば攻略法は幾つかあるが初見なら確実に殺しにいける程のクソッタレ性能だ。
それにスーパーレアの方もなかなか良いスキルだと思う。単純に考えたらバルムンクさんのパワーアップが出来るって事だろ?スゲーじゃん。それに対象のって事はブルドガング、クラウソラス、ノートゥングのパワーアップも可能って事だ。これはとうとう俺にも波が来ただろ。スーパーアシストキャラ確定だろ。そもそも俺が主役なんておこがましいんだよ。俺はみんなを引き立たせる脇役でいいんだ。顔を見たってわかるだろ。
これでとうとう俺にも役割が出来た!!スキル効果次第ではリストラされなくて済みそうだぞ。うしうし。
ーー慎太郎が馬鹿な考察をしていると足音が近づき、気配の主たちが姿を現わす。
現れたのは見た目は少し陰キャラっぽいヒョロガリの男たちだ。連中は俺に気付くと一瞬驚いた顔をするがすぐにニヤケ顔へと変化した。
「獲物発見じゃね?」
「しかも俺らとは違う人種のクソじゃん。」
「殺りがいがありますねー。」
陰キャラのくせに数の優位を確認した途端ドヤってやがる。もうこの時点で俺の勝ちは確定みたいなもんだな。
「女だったら良かったのにな。俺らってまだ奴隷手に入れた事ないし。」
「それな。性奴隷欲しいよなー。ブスはいらねーけど。」
「ブハハッ!ブスなんて勘弁ですよー。あー、でも、身体の良いブスならバックからヤれば大丈夫じゃないですか?」
「アリだな。でもやっぱイイ女で童貞卒業してーよなあー。水口杏奈がオレヒスやってたらなぁ。性奴隷にして犯しまくるんだけどなー。」
「水口杏奈みたいな女がいたら堪らねえな。もう毎日ヤリまくりだろ。」
「もしかしたら水口杏奈もオレヒスやってるかもしれないですよ?」
「そういう希望を持ちながら頑張りますか。と、コイツシカトしちってたな。くさくさ。」
こういう性格してるから陰キャラなんだろうな。てか度々いろんなところで水口杏奈って名前聞くけどそんなに有名なんかな?可愛いの代名詞みたいじゃん。まあウチの綺麗所には敵うわけないと思うけどな。
「サクッと殺しちゃいますか。こういう陽キャラ野郎ってムカつくんですよ。」
「お!右京がキレちゃったよ!」
「やば!!」
「おい、一応聞くけど退くんなら俺から仕掛けるつもりはねーよ。どうする?」
俺が口を挟む事に男たちは初めは驚くような素振りを見せる。だがすぐに見下したような目つきをしながら高笑いを始める。
「ブッヒッヒ!!虚勢!!虚勢張ってるよコイツー!!」
「俺らにビビっちゃってる感じですかー!?」
「おつおつ!!」
……お前ら牡丹がいたら血祭りに上げられてるからな。
「まぁいいや。忠告はしたからな。かかって来いよ。」
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