第246話 俺の扱い雑じゃね?
クソチケット争奪戦が終了し、マンションへ戻ると、今日のクランイベントに関しての概要が送られて来た。
内容については以下の通りだ。
『いつもご利用ありがとうございます。俺'sヒストリー運営事務局です。
先にお伝えしました通り、長期メンテナンスが終わりましたので俺'sヒストリーの再開をここに宣言致します。つきましては、明日、PM9:00よりクランイベントを開催致します。開催期間は無期限。一つのエリアに20のクランが配置されます。
開催期間を無期限と設定させて頂いた理由は皆様にゲームを楽しんで頂く為でございます。今回のイベントは生存クランが7以下になるまで戦って頂きます。勿論、支配下プレイヤーを増やしても構いません。
そして、今回はプレイヤーの皆様に楽しんで頂く事が目的ですのでゾルダート等は配置致しません。又、戦功上位2つのクランにおきましては、主人プレイヤー全員にサブスキルガチャ券を配布致します。
それでは楽しいイベントとなりますよう、運営事務局一同心より祈っております。』
とまあ、こんな内容だが特別驚きはしない。いつもコイツらは後出しで俺たちに厳しい条件を突きつけてくるのだから流石にもう慣れた。それに俺たちなら絶対に勝ち残れる。サブスキルの導入によりアルティメットの優位性が薄れたが、楓さんと牡丹は言わずもながら人外級だし、美波も”具現”が出来るようになりトリプルアタッカーが完成した。それにアリスは回復と魔法の二段構えだし、クランには欠かせない存在だ。
……俺は…何の為にこのクランにいるんだろうなぁ。いつリストラされんのかなぁ…
ーー
ーー
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「…タロウさん項垂れてるけどどうしたんだろう…?」
「きっとクランイベントの作戦を立てているのだと思います。」
「そうね、間違い無いわ。タロウさんは本当にマジメなんだから。」
「はい!タロウさんはみんなの事を第一に考えてくれる人ですから!」
ーー4人が的外れな考察をしていると苛立ちながらリビングへと入って来るノートゥング。そしてソファーに座っている慎太郎を見つけるとその足にノートゥングは蹴りを入れる。
「痛っ!?イキナリ何をすんだよ!?」
『この馬鹿タレが!!冷蔵庫にプリンが入っておらんぞ!!何をやってるのだ貴様は!!』
何をやってるって…知るかよそんなの。
ノートゥングの奴はこの2ヶ月の間に現代の世界の物の名前とかを大分覚えた。そして今コイツがハマってるのはプリンだ。アイスクリームは相変わらず好きだがプリンに激ハマり中なのである。
「プリンが入ってないって食べちゃったら入ってるわけないだろ。冷蔵庫は魔法の箱じゃないんだぜ、女王様よーー痛ッ!?」
ーー馬鹿にしたような口調で言う慎太郎にノートゥングはビンタをかます。
「な、何をすんだよ!?」
『さっさと買って来い。』
「ビンタって!?俺だって泣くからな!?いい歳したオッさんがギャン泣きするからな!?」
『とりあえず10個買って来い。』
「シカトかよ!?てか何で俺がそんなに買わないといけないんだよ!!」
『フッ、簡単な話だ。妾は貴様の主人だからだ。』
「初耳なんだけど!?」
『ついでに『かすてら』というのも買って来い。テレビで見て美味そうだった。』
「はぁー!?お前のアイス代にいくらかかってると思ってんの!?月10万近くかかってんだよ!?ダッツしか食わないし!!そんでプリンも10個とか破産するわ!!」
『あ?『お前』?貴様、また妾をお前呼ばわりしたか?』
「いや…違いますでごぜーますよ…」
『妾の躾が悪かったようだな。たっぷりとその身体に教え込んでやろう。』
ーー慎太郎が部屋から逃げようとするがそれをノートゥングが首根っこを掴み、床へ引きづり倒す。恐怖に怯える慎太郎を見てノートゥングが幸せそうな顔をして殴り始める。完全にマウントを取られている慎太郎は必死に手でノートゥングの拳を防ごうとするが全く効果無し。顔、腹を集中的に殴られる。
「痛い痛い!!!ギブギブ!!!」
『ククク、妾に上に乗られて興奮しておるのかこの変態め。これでは貴様への褒美にしかならんな。』
ーー
ーー
ーー
「…美波ちゃん?アレ、止めなくていいの?」
「いいんです。アレはあの2人でイチャイチャしてるだけですからっ。」
「…タロウさんは嬲られるのがお好き…」
「牡丹さん…それは違うと思います…」
********************
「くっそ…マジで痛ぇ…」
ーー結局ノートゥングにプリンを買いに行かされる羽目になった慎太郎は車を出して店へと向かう。
「…つーか、何で乗ってんの?」
『たまには良かろう。どの様なプリンがあるのか見てみたいからな。』
しかもコイツと2人っきりときたもんだ。美波と牡丹は家事があるから来なかったし、楓さんとアリスはゲームのイベントがあるから来なかった。だから俺1人で行こうとしたらナゼかコイツもついて来やがった。挙げ句の果てには助手席だぜ。ちゃっかり家着である俺のスウェットから外出用の服に着替えてやがるし。それもギャル系ファッションだよ?一体ドコで手に入れたんだよそれ。ヘソ丸見えだし。それに胸を強調し過ぎ。牡丹と同じ大きさでそんな露出多いとか堪らないんだけど。
『フフ。』
「ん?どーした?何か面白いものでもあったか?」
『いや、何でもない。気にするな。』
何だかわからんが機嫌が良いならいっか。また殴られちゃ堪ったもんじゃないからな。
『さて、貴様の思う一番美味いプリン屋に連れて行くのだぞ。』
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