第200話 計算外
【 ??? 】
ーー楓たちが地下牢へと入ったと同時刻、こことはまた違った場所にて不測の事態により苛立っているモノたちがいた。
『ちょっと!!どうなってんのよ!!』
ーー仮面をつけたモノが怒りを露わにしてリザルト部屋へとやって来る。
「うわ…来ちゃったか…」
ーー仮面のモノの苛立ちを見て女が困ったような素振りを見せる。
『来ちゃったか、じゃないわよ!!何でタロウたちが洋館に居るのよ!?』
「そんなの葵ちゃんに言われても…」
『サーシャとリリは何してるの!?上手く調整しなきゃダメじゃない!!』
「いやー、なんか誰かが邪魔したっぽいんだよねー。」
『…どういう事?』
「私がゲリライベのステージ振り分けをここでやってたじゃん?そんでたーくんらを危険の無い孤島エリアに誘導しようとしたら先に洋館に固定されちゃったんだよ。そんな事出来るのって言ったらーー」
『ーーアインスしかいない。』
「て事になるじゃん?」
『…アインスはタロウたちに死んで欲しいって事…?』
「どうだろうね。何かしらの計画があるんだろうけどリスク高いよね。地下牢にいるリッターって誰だっけ?」
『翁島香登がいるわ。』
「翁島…?あー、フライヘルのね。でもスキルもゼーゲンも取り上げられてる訳だからねー。あ、ナディールの器に入れられるんだから楓ちゃんたちもスキル使えないのか。でも楓ちゃんが翁島香登とマッチアップするんだから勝てるでしょ。ゼーゲンとエンゲルあって勝てないなんて言わせないよ。」
『翁島香登なんか問題じゃないわ。問題なのは地下牢にはアイツがいるのよ。』
「アイツ?」
『緒方瑞樹。』
「え?誰?」
『あぁ、葵は知らないか。ドライの本名よ。』
「ええええぇぇぇぇっ!?何で元”ヴェヒター”がそんな所に!?」
『アインスが決めたのよ。』
「あー…尚更たーくんたちを殺しにかかってるとしか思えないね。てか、ドライがいるんじゃヤバくない!?あの人ってたーくんら殺そうとしてたじゃん!?」
『だから私がイライラしてんでしょ!!!』
ーー仮面越しにもツヴァイの苛立ちが伝わり葵は苦笑いをする。
「実際あの人ってどん位強いの?」
『私と同じぐらいじゃない?』
「スキルとかナシの素の力で?」
『素の力で。』
「楓ちゃんたち死んじゃうよね!?私がこの前やり合った剣帝と同じぐらいって事だよね!?」
『だからイライラしてるって言ってんでしょ!!!!』
「うわぁ…」
『てゆーかその反応って事は…地下牢に降りたわけ…?』
ーー葵がツヴァイに目線を合わせずに無言で頷く。
『マジですか…え、誰が降りたの…?』
「楓ちゃんと美波ちゃんとアリスちゃん。」
『なんだ、良かった。』
「いや、良くないから!?楓ちゃんたち死んじゃうから!?」
『タロウが生きてればいいよ。』
「はいはいはい!!!まったく…ログ見たらそんな事言え…いや、なんでもないです。」
『は?早く言えば?』
「怖いって!?」
『早く。』
「いや…怒らない…?」
『知らない。』
「もう怒ってるじゃん!?」
『いいから。』
「あ、はい。じゃ…ログ…映すね…」
ーー葵がスマホを取り出し動画を再生する。
ーー
ーー
ーー
『やっほー!みんなのアイドル、リリちゃんだよー!』
ーー画面に映し出されたのはショートカットで金髪の外国人の女性だ。サーシャや葵同様の美少女である事はお約束だ。
瞳の色はミステリアスなグリーンで見るものを惹きつけるような魅力がある。
『今、リリちゃんはなんと!!田辺慎太郎と島村牡丹のチョメチョメしてる現場へと潜入しているであります!!』
『はぁ?』
「ひいっ!!」
ーーツヴァイから殺気と邪気が出ているので葵が怯える。
『ご覧下さい!!あのくんずほぐれつ絡み合いながらキスをする姿をッ!!アレはディープですッ!!舌が絡み合っておりますッ!!ベッドに押し倒してしている様はもはや愛撫ですッ!!イヤーン!!とってもセクシーでリリちゃん困っちゃーー』
ーーバキッ
ーーツヴァイが葵のスマホをへし折り、動画の再生が停止した。
「ああっ!?わ、私のスマホ!?」
『あぁぁぁぁイライラする!!!タロウも少し痛い目にあった方がいいね!!!』
「…ヤキモチって怖いなぁ。」
『うっさい!!!首狩り村があるから心配してあげたのに呑気にこんな事してるよーな男は知らない!!!』
ーーツヴァイが怒り心頭の様子で空間から立ち去る。
「やれやれ…ま、ここからがお手並み拝見かな。たーくんと楓ちゃんが死んじゃうと私たちの計画狂っちゃうからかんばってねー。」
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俺'sヒストリーを読んで下さる方々、いつもありがとうございます。かつしげです。
皆様のお陰で200話に到達する事が出来ました。この場を借りて感謝申し上げます。
また、コメントを下さる方々にも重ねて感謝申し上げます。いつも励みになっておりますので今後ともお言葉を頂けたら幸いです。
これからも俺'sヒストリーを宜しくお願い致します。
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