第140話 告白 3

…マジかよ。美波も俺に惚れてるの?これは聞くまでもなくラブだろ。え?て事は美波とテニスウエア着た状態でのコスプレプレイとかもできちゃうわけ?

マジっすか。最強じゃん。ただでさえエロい美波がコスプレしたら最強じゃん。今からコスプレプレイとかしてもいいのかな?いいよね?やっべ、ビンビンなんだけど。

…いやいやいや、待て待て。落ち着け。クールになるんだ慎太郎。マズいって。牡丹と楓さんはどうすんだよ。特に牡丹がヤバいって。朝だって危うく剪定バサミで刺されかけたし、俺の服破いて無理矢理既成事実を作られる所だったんだから。毎日朝と晩にキスするって条件でなんとか切り抜けたんだぞ。それで美波とそんな事したら刺されるか俺の息子を切り取られてしまう。


つーかさ、なんでノートゥングはしれっとここにいんの?これって衝撃の事実だよね?

え?スキルってこっちでも使えんの?それってヤバいだろ。場外バトルもアリって事じゃん。そっちの対策練る方が先決だよね?

てかね、俺、ノートゥング苦手なんだよね。こういう高圧的な女ってダメなんだよ。俺みたいにメンタル弱い奴は逆らえないもん。そもそもなんで友達の告白に一緒について来た女友達みたいな図式になってんの。俺が断れないフォーメーションできてんじゃん。


『おい、何を黙っているのだ誑し。さっさと答えろ。』


だから怖いって!なんでそんな女王様みたいなの!?


『因みにミナミを悲しませるような返答をしたら貴様を殺す。断ったりなどしたら八つ裂きにして殺す。他に女がいたら妾の考えつくあらゆる拷問にかけて殺す。』


イエス以外の選択肢無いって事だよね!?

…アカン。ワイの命はここで終わりかもしれん。ここでオッケーすれば牡丹に刺される。ここで断ればノートゥングに殺される。アウトじゃん。どうせ死ぬならやっぱり楓さんとヤッときゃ良かった。

いや…待てよ慎太郎。諦めんな。お前のその脳みそは何の為にあるんだッ!!考えろッ!!考えるんだよッ!!

勝機を…起死回生の一手を考えろッッ…!!!


「あのさ…美波の言う好きって…ライク…?」


そうだ、まだわからない。もしかしたらライクの可能性もある。それならこの危機的状況も打開できる。来いッ!!ライク来いッッ…!!!


「ラブです。タロウさんに救ってもらったあの日から私はタロウさんの事しか見えません。大好きだから一緒にいたいんです。」


…ですよねー。うん、絶対ラブだと思ってました。

どうしよう…アカンって…死の音が近付いとる。

…もういいか。ぶっちゃけ美波の事も大好きだし。美波も楓さんも牡丹もみんな大好きだもん。みんな嫁にしてハーレムで良いんじゃね?4Pできるじゃん。最高だろそれ。良いんじゃね?

いやいやいや、待て待て待て。良いわけねぇだろ!!!それでみんなが納得するわけがない。

…正直に言おう。


「美波。」


「はい。」


「ぶっちゃけると俺も美波の事が大好きだ。さっきまで彼氏いたら嫌だって思うぐらい嫉妬しまくってた。そんぐらい大好きだ。」


「じゃ、じゃあ…!!」


「でもな、美波とそういう関係にはなれない。」


俺がそう告げると美波は暗い表情になり俯いてしまう。それと同時に横にいるノートゥングから凄まじい殺気が放たれる。親の仇かのような憎しみの眼を俺に向けている。怖い。でもここで引くわけにはいかない。


「理由はさ、アリスなんだ。もし俺とそういう関係になるとアリスが戸惑うと思うんだよ。邪魔じゃないかとかさ。そうなると家に居づらいって思わせてしまう。俺はそんな事をアリスに思わせたくないんだよ。」


俺の気持ちは美波にはきっと伝わると思う。そりゃあ美波みたいな可愛い子と付き合えれば最高だよ。でもやっぱり俺の中心はアリスにしなきゃいけない。半端な気持ちでアリスと家族になる事を選んだわけじゃないんだ。だからいかに美波や楓さん、牡丹が俺を想ってくれても今はそれに応えてはいけない。


「なるほど、わかりました。」


…またデジャブ感じるんだけど。いや…美波ならきっと大丈夫だ。あの問題児たちとは違うはず。


「そっか、わかってくれたか。」


「つまりはアリスちゃんを私たちの子として考えろって事ですねっ!」


「お前ら俺の事ハメてるんじゃないよね!?ドッキリか!?ドッキリなのかコレ!?」


…ダメだこりゃ。まさか美人どもがここまでポンコツだとは思わなかった。


「実はな、楓さんと牡丹にも告白されたんだよ。それで2人にも同じ事を言ったんだ。そうしたら2人とも俺の返事を待つって事になって…」


「なら私も待ちますっ!!その間にタロウさんを私に振り向かせますっ!!私に依存させて私がいないとダメな身体にしますっ!!」


…だから言い方がエロいんだよ美波は。


「いつになるかわからないよ?美波を選ぶとも限らないわけだし。それにさ、美波はあの状況で俺に助けられたから美化してるだけだよ。時間が経てばきっと俺への気持ちは薄れるよ。」


「それは絶対ありません。確かにそれが大きなきっかけでした。もし私が奴隷に堕ちていたら澤野にどれだけの陵辱をされたか想像もできない…怖くて仕方がなかった…それをタロウさんが助けてくれた。嬉しくて堪らなかったです。でも、それだけであなたに想いを寄せたわけではありません。あなたの中身を知ってもっともっと好きになったんです。決して軽い気持ちじゃない。だから私はあなたを振り向かせます。」


そう言う美波の目は凛として気高い雰囲気を醸し出していた。

…こんな男の何がいいんだかな。特に美波と楓さんは三國の野郎から俺のダサい過去まで聞いておいてさ。

そこまでの覚悟があるなら俺に美波を止める権利は無い。


「わかった。これからもよろしくな、美波。」


「はいっ!よろしくお願いしますっ!」


うん、流石は美波だ。3人の中で一番綺麗に話がまとめられたな。


『……』


「どうしたのノートゥング?不服そうな顔をして。」


…なんか嫌な予感がする。俺の第六感が警告してる。逃げろと、早く立ち去れと。


「じゃ、じゃあ俺はそろそろ寝ようかなー…」


『待て誑し。』


俺がソファーから立ち上がろうとするとノートゥングに制止される。


「な…なにかな…?」


『貴様は何か忘れているのではないか?』


「な、なにを!?」


何だそのゴミを見るような眼は…

やめろ…そんな眼で俺を見るな…


「何かあるの?」


『妾は昨夜、あいすくりぃむを食べようと冷気の箱のある部屋へ向かおうとしたのだ。そうしたらちょうど目撃してしまってな。剣帝の主人とその誑しが濃厚な口づけを重ねておったのだ。』


「…は?どういう事?」


「ひいっ…!」


…アカン。美波の目にハイライトさんがおらん。それに邪気まで纏っとる。


『大方、この誑しが剣帝の主人に迫られてキスをしたのだろう。だが嫌々では無く非常に愉しそうにしておったぞ。妾の読みが正しければ花の娘とも此奴はキスをしておるはずだ。』


コイツ、エスパーかよ!?

ヤバい…絶対ヤバい…どないしましょう…!!


「説明してもらえますか?楓さんと牡丹ちゃんとキスしたんですか?」


怖い…美波が怖い…普段おっとりしてる分余計と怖い…


「違うんだ…!楓さんとは確かにしたけど、イキナリされたんだよ…!」


『舌まで絡ませておいてよく言うわ。』


「ちょっと黙っててくれます!?」


美波の邪気が濃くなっとる…!ヤバいってマジで。誠実に対応しなきゃ絶対マズイぞ…!


「牡丹には楓さんとしてた事がバレて…その…なら私にもしてくれって言うんでしたんだよ…特別扱いをしたわけじゃないぞ!?俺は美波も楓さんも牡丹もみんな同じぐらい好きなんだから!!」


「なら私にもしてくれますよね?」


「え?」


「2人にしたのなら私にもしてくれるのが当然ですよね?」


「あ、はい。」


美波のハイライトさんが戻って来たけどなんか怖いんだけど…


「じゃあ…ファーストキスですから…その…優しくして下さいねっ…?」


…エロい。風呂場で楓さんをオカズにヌキヌキして来たのにまたビンビンになるぐらいにエロい。


「…うん、わかった。」


「ノートゥング…あの…悪いんだけど…」


『言わんでもわかる。妾は先に寝るとする。またなミナミ。』


「うん、ありがとうノートゥング。」


『おい、誑し。冷気の箱にあいすくりぃむが無いぞ。何をやってるんだ貴様は。』


何をやってるって何にもやってねぇよ。俺は家来じゃないんだぞ。アイスクリーム担当大臣じゃないんだからな!!


『ちゃんと明日までに用意をしておけ。わかったな?』


「あ、はい。わかりました。」


うん、ノートゥングみたいな高圧的な女に小心者の俺が逆らう度胸なんかあるわけないよね。


「じゃあタロウさんっ!お願いしますっ!」


「お、おお。どうすればいい?」


「えっと…ギュッて抱きしめながらしてもらってもいいですか…?」


「いいよ。じゃ、失礼します。」


俺は美波を抱きしめて唇を重ねる。流石に3人目だと慣れたもんだ。楓さんと牡丹の時は息子がいきり立ってしまったが、風呂場でヌキヌキして来たおかげで息子は落ち着いておられる。


「…どう?」


「……」


…なんだ?美波が不満そうな目をしているぞ。


「どうしたの?」


「舌を入れてくれてません。楓さんにはしたのに。」


なんだそれか。全く牡丹と美波には困ったもんだ。


「ヤキモチ妬きだな美波は。」


「だって…ん…」


俺は少し強引に美波を引き寄せ再度キスをする。当然ディープだ。少し調子に乗って激しくすると美波もそれに応えてくれる。それにより息子がいきり立ってしまった。ヤバいな、バレバレだろ。


「ぷはっ…ふふっ。タロウさんは私で興奮してるんですか…?」


「…そりゃあね。」


「私を選んでくれればしたい事していいですよ?」


「…さて、寝ようか。」


「むぅ…!タロウさん、イジワルですっ!!」



俺の長い一日がようやく終わりを迎えた。

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