第2話 チュートリアル

『まズ、メモリーダストを手に入れる為にはイベントに参加して頂く事になりマス。』


「イベント?」


『はイ。チュートリアルの後に実際に参加して頂きまス。』


「どんな事をやるんだ?ボスでも倒すのか?」


『このゲームは立ち上げたばかりなのでまだこれと言って決まったイベントは御座いませン。今までにいくつか開催しましたガ、この後のバディイベントというモノが一番多く2回目なのデス。』


「バディイベント?誰かと組むって事か?俺以外にも参加者がいるのか?」


『その通りデス。タナベシンタロウサマは8192人目のプレイヤーとなりまス。バディイベントでは他のプレイヤーの方と組んで頂キ、2対2のバトルをして頂きまス。そして勝利すればゲームクリアとなりまス。』


「バトルってどんな?」


『カカカカカ!タナベシンタロウサマは質問ばかりですネ。少しは御自分で考えてはどうですカ?』


コイツ感じ悪いな。考えたってそんな事わかるわけねーだろ。聞いた方が早い事だってあるだろ。


『まァ、始まれば時期にわかりまス。そんな事よりも戦い方を御教え致しまス。』


戦い方?って聞こうとしたけどまた言われても癪なので黙っている事にした。


『俺'sヒストリーではスキルという特殊技能を使う事によりバトルを展開して行きまス。このスキルはガチャでのみ入手する事ができマス。』


「はぁ!?そうしたらガチャ回さねぇとスキル使えねぇって事じゃねぇか?」


そんな後出しジャンケンみたいな説明あるかよ。スキル必要なゲームでスキル使えなかったら即死確定だろ。


『救済措置が御座いまス。初回のみ、3連ガチャを無料で回す事ができまス。そこで入手したスキルを使うもヨシ、納得がいかなく課金するもよシ。プレイヤーの皆様の御自由にドウゾ。』


「…まぁいいよ。スキルが一応は貰えるんなら納得するよ。」


『カカカカカ!そうそウ、スキルは3つまで装備をする事ができまス。戦略を練る事が大事デス。

それともう1ツ。ラウムというアイテム保管空間をプレイヤーの皆様は所持しておりマス。これは実際に見てもらいましょウ。タナベシンタロウサマ、頭の中でラウムと念じて右手を横に出して頂けますカ?』


「こうか?」


俺は言われるまま右手を横に出す。すると、小さなブラックホールのような空間が俺の手の先に出現した。


「なっ、なんだこれ!?」


『それがラウムでス。ラウムの中に手を入れて下さイ。そうすれば脳内に所持しているアイテムの一覧が表示されマス。』


ラウムの中に手を入れると、ツヴァイが言う通り脳内に所持アイテムリストが表示される。俺のラウムにある物はーー


【ロングソード】


これのみが表示されている。


『ロングソードが表示されていると思いますノデ、それを出して頂けますカ?使うと念じるだけで結構デス。』


俺はツヴァイに言われた通りにやってみる。

すると、手に剣の柄を握っている感覚が現れる。恐る恐るブラックホールから引き抜いてみると、俺は西洋のロングソードのような剣を持っていた。


「マジかよ…!」


俺はこの時点で夢でもVRでもない事を確信した。


『それが初期装備となりまス。ラウムの中身に関しては課金では揃える事は出来ませン。イベントの成績によって中身が変わって行きまス。良いアイテムが欲しければ戦功を挙げる事デス。』


「なるほどね。オッケー納得したよ。」


『ガチャを回してチュートリアルは終わりでス。ラウムと同様にガチャを回すと念じて下さイ。』


俺はガチャを回すと念じてみる。すると、目の前に祭壇のような物が現れる。神々しいともいえるが、不気味ともいえるような奇妙な祭壇だ。


『それはアルタールと呼ばれているモノでス。でハ、アルタールに上ってガチャを回すと念じて下さい。あなたが許されている数だけスキルカードが貰えまス。良いスキルだと良いですネ。』


アルタールと呼ばれる祭壇へと上がり、俺はガチャを回す。良いやつ来いよ!良いだけ来い!!


すると、アルタールが光り輝き空から虹色の光が降り注ぐ。その虹色の光に運ばれるような形でカードが3枚俺の元へと舞い降りる。

俺はそのカードを手に取ってみる。裏返っていたので表にしてみると、カードの表面に何かが書いてある。



《アルティメットレア 巻戻し 効果 ゲーム開始まで時間を戻す事ができる。ただし、1度のみ。 Lv.1 》


《アルティメットレア 剣聖の魂 効果 剣聖の魂を召喚する事ができる。ただし、1日に1回のみ召喚可能。 Lv.1 》


《アンコモン 肉体強化 効果 自身の身体能力を1%上昇させる事ができる。ただし、1度のみ。 Lv.1 》



「アルティメットレアって結構良さそうじゃん?でも2枚も出てるんだからそうでも無い感じか?」


『…すごいですネ。流石はワタクシがーー』


ツヴァイが何かを言おうとしたが突然言い淀む。


「どうした?」


『なんでもありまセン。スキルカードはラウムの中に入れて置いて下さイ。そして頭の中で装備するカードを念じれば装備されマス。』


「オッケー。装備もできた。これでチュートリアルは終わりか。こんなんで戦えるのかよ。」


『さア?後は御自分で考えて生き残って下さイ。』


「生き残って?生き残ってって何だよ?まさか負けたら死ぬんじゃないだろうな?」


『いい加減五月蝿いデスヨ。後は自分で考えなさイ。』


突如凄まじい睡魔に襲われる。あまりの眠気に俺は立っていられなくなる。


「お前…なんか…しやがった…な…」


俺は地べたに這い蹲り、思い瞼を閉じて楽になった。


『勝ち残る事を期待しておりマス。タナベシンタロウサマ。』

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