第16話
「びっくりしたか? 颯太。ちゃんと完成するまで、お前に知られねぇようにするのは、大変だったぜ」
「風呂上がりとか、現場で汗だくになった鳶シャツ着替える時とかよ」
「お話し中失礼するぜ、お二人さん。つーか、大河よぉ、話しが長くなるようだな。なら、休憩すっか?」
「つーか、オヤジよ!もうオヤジと盛るのはこれで終わりにしてくんねぇか」
「まだ汁 ふっぱなしてねぇぞ!ワシはよぉ」
「オヤジ、今から大事な話しを颯太にするんだから、ちょっと静かにしといてくれよ」
俺、親方と話してる大河さんの背中に見とれていたっす。
だって、すっげぇ綺麗だったんすから。
親方のは右の尻から左の肩口にかけて、胴体や頭の色が青い、口を少しあけた龍が彫られてるんすが、大河さんのは 胴体や頭が赤い色をした、口をキュッと結んだ龍が左肩口から右尻にむかっているという図柄の龍だったんすよ。
「颯太、こっちに来て俺の横に座れよ」
「うっす、大河さん」
「しかしさっきからよ、気になってたんだよな、お前が俺を呼ぶ呼び方をよ」
「えっ?」
「さんづけじゃあなく、兄貴って呼べよ。あ、これ、二人きりになった時な」
俺は、嬉しかったっす。
二人きりになった時だけとはいえ、兄貴って大河さんの事呼べるんすから。
「俺の背中の龍はオヤジと同じ図柄だけど、色が違うだろ?なんで、赤かわかるか 颯太」
「いや、わかんないっす」
「お前 好きな色は何色だ?」
「えっと...赤色っす」
「あっ!」
「あっ!じゃねぇだろがー。ま、予想はしてたがな」
「あ、兄貴ーぃ」
「いつもお前と一緒に居る気がしてよ。そんで、この色に決めたんだよな」
俺、嬉しくなって大河兄貴とキスしていたっす。
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