第9話

くはっ!颯太、おめぇかなり尺八上手くなったな。マラがとろけちまいそうだぜ」


「誰の何がとろけちまうんだって~?颯太とオヤジよぉ!」

怒鳴るような調子の声が親方の部屋のなかに、響き渡ったんす。

親方の息子の大河さんだったんすよ。


「全く二人とも、この家には自分達以外誰もいねーみてぇに盛ってんじゃねぇよ」

「じゃあ大河、おめぇも交ざるか?ワシらの盛りあいによ」

「馬鹿言ってんじゃねぇーよ、オヤジ!俺が、颯太の事どんなに好きかわかってんだろ?わかってて言ってんのかよ」


俺、それ聞いてびっくりしたっす。

だって、仕事でヘマやらかすといつも一番叱り飛ばすのが大河さんだったんすから。

それが、俺の事が好き?

もう、訳わかんなくなっちまってたっす。

「しかしよ、大河。マラは正直だよなあ。お前の六尺の前袋 パンパンに張ってるぜ」

大河さんは、寝てたらしく、六尺一丁の格好で親方の寝室に来ていたんすよ。

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