大地震の後
大地震の影響で、街は壊滅状態。地面もボコボコとして非常に歩きにくい。いたるところで火事も起きているようで、立ち込める煙で視界が悪い。僕は世界を救わなければいけないので、土手沿いを歩いていると、ガードレールに頭から突っ込んでいる車があり、通り過ぎざまに中を見ると運転席のおばあさんが苦しそうに俯せている。
これも世界を救うためだと、そのおばあさんを持っていたDVDに焼いて、ケースに入れる。このおばあさんは死んでしまう運命だったけれど、これで大丈夫と安心すると、土手沿いの道を更に進んだ。
土手の道が終わると視野いっぱいに広がる更地にポツンと立つ古ぼけたマンションがある。そのマンションからこの街の現状を把握すべく、最上階の非常階段の柵に足を引っ掛けた状態で、エビ反りになって外側へ乗り出して、崩壊状態の街を見渡す。天地がひっくり返った視点でどこまでも続く地平線を眺めていると、地平線の向こう側からゾロゾロとなにか群衆が近づいてくるのがわかる。
なんだろうと注意してみていると、丁度ギリギリ顔が判別できない距離にその群衆が近づいてきた辺りで、頭に直接声が響いてくる。
謎の声「おい、となり町の人間よ。今日はお前らの街を頂きに来たぞ。おとなしく渡すか、さもなくば勝負をしろ」
僕「おとなしく渡すと思うのか? 随分平和な国に生まれたもんだ」
僕も心の声でそう返すと、引っ掛けていた足を外し、下に飛び降りる。着地すると、その群衆は目の前にまで迫っていて、みんな一様に顔がないことがわかった。
謎の声「では三日後にこの場所で勝負をしよう。それぞれ三人の代表を用意し、ビーチバレーで勝負だ」
僕「わかりました」
謎の声「負けた方は、領土を勝った側に譲り、住民は短パン着用を義務付ける」
僕「わかりました」
ぞろぞろと帰っていく群集たちを見送りながら、誰を代表にすべきか考えていると、猫が三匹現れた。
猫×3「「「あいつらはもうここには来ない」」」
三日後に彼らがここに現れることがないことがわかったので、僕は誰を代表にするべきかを考えなくて済んだ。
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます